麻 リネン
概要
麻は、代表的な植物天然繊維です。麻植物の種類は多いですが、現代において衣服に使われるのは亜麻(リネン)と苧麻(ラミー)の2種類のみ。どちらも茎から繊維を採取します。亜麻(リネン)と苧麻(ラミー)の違いに関しては、特徴下部に記載しています。繊維の価格としては高めです。
麻 リネンの特徴
麻はセルロースを主成分としてできています。短繊維なので紡績して糸にしますが、繊維の性質上、太さの均一な糸は作りにくいです。 繊維の中央に空いた細い穴が通気口のような働きをして、水分を吸収・発散し、とても乾きやすいのが特徴。そのため、いつでもさらりとした触り心地で、独特のシャリ感による接触冷感効果も感じられます。 一方で強いコシやハリがあり、風合いは硬いです。強く洗濯したりこすったりすると繊維が傷みやすく、毛羽立ちしてしまうため、取り扱いには注意しましょう。
麻・リネンのメリット
- さらりとした肌触り
- 水分の吸収・発散が早い(吸水速乾性)
- 通気性が良く、蒸れを防ぐ
- コシが強く強度に優れている
- 伸びにくく型崩れしにくい
- さわやかな触り心地で接触冷感がある
麻・リネンのデメリット
- コシは強いがそのままでは硬い
- 伸縮性・柔軟性に乏しい
- しわになりやすい
- 刺激により繊維が傷みやすく、毛羽立ちやすい
- 紫外線に弱く変色しやすい
亜麻(リネン) | アマ科の一年草の植物。主な生産国は中国、フランス、ロシア、ポーランドなど。特にベルギーとアイルランドの亜麻はしなやかで最高級品です。 繊維のことを「フラックス」、糸や製品のことを「リネン」と呼びます。毎年同じ土地で連作できないため、価格帯は比較的高価です。 |
苧麻(ラミー) | イラクサ科の多年草の植物。主な生産地は中国、東南アジア、ブラジルなど。年に3〜6回収穫できるエコな素材です。 苧麻でできた糸や製品は「ラミー」と呼びます。価格帯は比較的安価のため、市場に出回りやすいです。 |
その他
- 麻は人類最古の繊維で、紀元前8000年前から使われていたと言われています。古代エジプトではミイラを包む布(亜麻織物)に使われていました。
- 日本は麻の輸入をほとんど海外に頼っていますが、国産の苧麻で織られた「越後上布」「薩摩上布」など手間をかけた織物は高級品に分類されます。
- 大麻(ヘンプ)も麻の種類のひとつですが、繊維がゴワゴワして硬く、衣料品にはほとんど使われません。「麻」と表記されず、麻袋や麻ひも、ロープなどの素材として使われる場合には「指定外繊維」と表記されます。
- 近年は麻素材そのものの色味や独特のシャリ感、風合いなどが、ナチュラル志向の女性を中心に人気になっています。