リヨセル
概要
リヨセルとは、ユーカリの木材パルプを原料として人工的に作った化学繊維・再生繊維です。リヨセルはセルロースを特殊な溶剤に溶かして繊維にしています。
製造方法は、まず木質パルプを溶剤で溶かしてからフィルターでろ過し、不純物を取り除きます。その溶液を細いノズルから押し出したものを紡糸。この方法は溶剤を気化・回収させるので「乾式紡糸法」と言います。
またリヨセル製造の過程で使った溶剤はほぼ回収・再利用されることも特徴。工場の外に廃棄物が排出されない「クローズド型生産」で作られており、環境にとても優しい素材なのです。
リヨセルの日本での品質表示は「指定外繊維」です。
リヨセルの特徴
リヨセルはやわらかい手触りを持っており、風合いとしてはレーヨンやシルクに近いです。
ドレープ性・落ち感もあるため、いわば「とろみ素材」と言われる素材としてファッションアイテムに取り入れられます。吸湿性・放湿性が高いこと、高発色であることも、衣類に使われやすい要因のひとつでしょう。
さらに強度が高いことも特徴。ポリエステル並みの強度を持っているため、生地や製品にした段階でさまざまな加工を施すことも可能です。その加工により、ひと味違った手触りや風合いに変化させられます。
水に濡れたり湿気を吸ったりしても強度が低下せず、洗濯で傷んだり縮んだりすることはほぼありません。織物であれば、家庭用洗濯機で洗っても収縮は3%以内だと言われています。
欠点としては、摩擦すると白化や毛羽立ちやすいこと。シミ汚れをつけてしまったら決して擦らず、早めにクリーニングに出さなければいけません。
またシワにもなりやすく、洗濯時はデリケートな素材として丁寧に扱わなければいけません。
リヨセルのメリット
- やわらかい手触りで着心地が良い
- 美しいドレープ性がある
- 吸湿性・放湿性が高く快適
- 発色性が高くきれいに染まりやすい
- 合成繊維並みの強度がある
- 水濡れに強い
- さまざまな加工をしやすい
リヨセルのデメリット
- 摩擦に弱い(白化、毛羽立ち)
- シワになりやすい
- 意外とデリケートな素材
その他
- オーストリアの繊維企業レンチング・ファイバーズ社でも、リヨセル繊維の商品「テンセル(登録商標)」を生産しています。レンチング社はモダールというレーヨンの改質版の繊維でも有名です。
- テンセルの原料となるユーカリ木材は植林管理された地域から伐採されます。レンチング社は製造工程だけでなく、原料の育成工程からも地球環境に配慮した方法を採用している企業なのです。
- リヨセルは濡れると風合いが少し硬くなるため、最初は驚くかもしれません。しかし乾いたり、アイロンをかけたり、着たりしているうちに元に戻るので安心しましょう。
- リヨセルの品質表示「指定外繊維」とは、家庭用品品質表示法によって指定されていない用語という意味です。リヨセルは新しい繊維であるために、日本の古い家庭用品品質表示法ではまだはっきりと定義されていないんですね。