アセテート・トリアセテート
概要
アセテート トリアセテート とは、木材パルプのセルロースと酢酸を科学的に結合し、合成させて作った化学繊維です。コットンリンターが原料になることもあります。
化学繊維の中でも、原料に植物を利用する「半合成繊維」です。レーヨンやキュプラなどの再生繊維と、ポリエステルなどの合成繊維との中間に分類されます。
同じ原料でも、アセテートよりもトリアセテートの方が結合する酢酸の量が多いです。それにより、アセテートとトリアセテートでは若干特徴が異なります。
アセテート・トリアセテートの特徴
アセテートは絹・シルクのような光沢感とやわらかさがあり、軽い素材です。シルクよりも安価のため、シルクの代替として利用されることもあります。
熱を加えると変形しやすいですが、冷めると再び固くなる性質(熱可塑性)を持っています。この性質を利用して、プリーツ加工しやすいのもメリットでしょう。
また吸湿性にも優れていますが、濡れたときの強度が著しく低下してしまうため注意が必要です。
対してトリアセテートは、アセテートよりも合成繊維に近い特徴を持っています。たとえば耐熱性に優れている、弾力性がある、しわになりにくいなど、アセテートのデメリットをカバーしているのが特徴です。
またアセテートは強度が低く衣類には不向きですが、トリアセテートはさらりとした風合いを持ち十分な強度もあるため、夏物などの衣類に使いやすいです。一方で吸湿性や染色性の高さはアセテートに劣る点に注意しましょう。
両方の共通点は、変色しやすいことです。空気中の窒素が酸化することで生じる「酸化窒素ガス」が繊維に付着することで変色、湿った状態で熱が加わることで変色(失透現象)など。変色しないように、慎重に保管することが大切です。
アセテートのメリット
- 絹・シルクのような光沢感がある
- 吸湿性が高い
- 染色すると鮮やかに発色する
- プリーツ加工がしやすい
- シルクより安価
- 撥水性が高い
アセテートのデメリット
- 強度が低く摩擦に弱い
- 水に濡れるとさらに強度が低下する
- シワになりやすい
- 張り・コシ・強度に欠ける
- マニキュアや除光液で溶ける
- 変色しやすい
トリアセテートのメリット
- さらりとした風合い
- 耐熱性が高い
- 弾力性がある
- シワになりにくい
- 撥水性が高い
トリアセテートのデメリット
- 吸湿性はアセテートより劣る
- 染色性はアセテートより劣る
- 変色しやすい
その他
- 植物由来の素材で自然に還ることから、近年は環境に優しい素材だと注目されています。
- トリアセテートはアセテートよりも生産量が少ないです。
- その特徴から弱々しく感じるアセテート・トリアセテート生地ですが、実は撥水性が高く、傘地など雨の日のお供として活躍してくれます。
- プリーツ加工しやすい点・サテンのような光沢感がある点から、ドレスやインテリアなどデザイン性の高いおしゃれアイテムを作りやすいです。