ポリエステル
概要
ポリエステルは化学繊維の中でも最も多く生産・消費されている繊維。
石油・石炭・天然ガスを原料としてポリマー(高分子化合物)を作り、それを加熱して溶融液にしたものを細いノズルから押し出して繊維化します。その後繊維を80度〜100度で4〜5倍に伸ばされます。
本来ポリエステルは染色性に劣っていましたが、染色の改良や高温高圧染色法などの登場により、現在は鮮やかな色にも染められるようになりました。
通常のポリエステル繊維はナイロンのように丸い断面とつるりとした側面を持ちます。これを加工により「異形断面ポリエステル」にすることで、さらに機能性を持たせたり、天然繊維のような風合いにすることが可能です。
その他にも、プリーツ加工やワッシャー加工などにより加工したポリエステル生地、さらに他の繊維と混紡させたポリエステル生地も市場に多く出回っています。
ポリエステルの特徴
ポリエステルの最大の特徴は、さまざまな加工ができることです。ウールライクポリエステルや麻ライクなポリエステルなど、あらゆる素材の特徴をまねして作ることが可能。
天然繊維よりも安価で手に入りやすく、そして天然繊維と同等の機能性や風合いを持たせることができます。
熱可塑性(熱を加えると変形し、冷やすと固定される性質)があるため、あらゆる熱セットができることもメリット。加工や混紡により可能性が広がるため、衣類や小物、インテリア、工業用など、あらゆるアイテムに使いやすいのです。
ポリエステルそのものには、強度が高い、弾力性や形状安定性に優れているというメリットがあります。日光による黄変や強度の低下もほとんどなく、しわになりません。
しかし、吸湿性が低くて汗を吸いづらかったり、静電気が起こりやすいという欠点も。また汚れを吸着する性質もあるため、洗濯を繰り返すと薄汚れる傾向もあります。
ポリエステルのメリット
- 天然繊維の性質をまねることができる
- 熱可塑性によりあらゆる加工ができる
- 安価で手に入りやすい
- 強度が高く、濡れても強度は変化しない
- 弾力性がありしわになりにくい
- 形状安定性に優れている
- 日光による黄変や強度低下が起こりにくい
ポリエステルのデメリット
- 吸湿性が低くべたつきやすい
- 静電気が起こりやすい
- 洗濯を繰り返すほど汚れが付着していく
「異形断面ポリエステル」の種類
絹の形状をまねたもの | 絹の繊維フィブロんのような三角形状にすることで、絹のような光沢感が出る。 |
中空糸 | 綿のように中央に穴があいたストロー状のもの。軽くてあたたかい。 |
吸水速乾ポリエステル | 1本の繊維に複数の穴をあけ、吸水性・速乾性を高めたもの。 |
その他
- ポリエステルやナイロンはポリマーを加熱した溶融液を、ノズルから押し出して冷却することで繊維化します。この製法を「溶融紡糸法」と言います。
- 1949年、イギリスのICI社が「テリレン」の商標名で工業化したことをきっかけに広まりました。続いてアメリカのデュポン社が「ダクロン」という商標名で工業化。さらに日本では、1958年に東洋レーヨンと帝人が「テトロン」の商標名で生産を開始しています。
- シャツのアイロンがけが面倒なときは、ポリエステル製シャツがおすすめ。形状安定性があり、アイロンがけいらずです。