アクリル
概要
アクリルは石油・石炭・天然ガスなどを原料とした化学繊維・合成繊維です。
原料からアクリルニトリルを作り、塩化ビニルや酢酸ビニルと共重合(ポリマー化)させます。それを湿式紡糸または乾式紡糸したものを、100度〜250度で延伸します。その後クリンプを与えて切断し、短繊維にしたものです。
アクリルの品質表示には、主成分のアクリルが85%以上の「アクリル」と、それ以下の「アクリル系」の2種類あります。
アクリルの特徴
アクリルの風合いはウールとよく似ており、中にはカシミヤのようにやわらかく光沢のあるものから、モヘアのようにハリのあるものまでさまざま。
ふんわりとやわらかく、暖かな肌触りは羊毛そのもの。軽くて染色性もよく、ウールよりも鮮やかな色に発色します。
さらにカビや虫食い、薬品にも強く耐久性があるため、ウールの代替として、あるいはウールと混紡して使用されることが多いです。
吸湿性は0.4%〜3%でやや幅があり、洗濯しても乾きやすいため、衣類に向いています。
しかし静電気が起こりやすかったり、毛玉ができやすかったりなどのデメリットも。アクリル系繊維の場合、アクリル繊維よりも耐熱性に劣ります。
アクリルのメリット
- ウール、カシミヤ、モヘアなどの風合いに近い
- やわらかくて暖かな肌触り
- ふっくらしているが軽い
- 染色性が高い
- 強度・耐久性が高い
- 洗濯してもすぐ乾く
アクリルのデメリット
- 静電気が起こりやすい
- ニットでは毛玉ができやすい
- アクリル系繊維は耐熱性がやや劣る
その他
- アクリルは1948年、デュポン社が開発しました。「オーロン」という商標名で生産しています。日本では鐘淵化学工業が「カネカロン」というアクリル系繊維を製造したのがはじまりです。
- アクリルは、ポリエステル、ナイロンと並び、三大合成繊維として世界中で生産量の多い繊維のひとつです。動物の毛皮を模して作られたフェイクファーのほとんどはアクリルで作られています。
- アクリルはしばしばウールと対比され、ウールが羊毛を使っているのに対し、アクリルではバルキー糸と呼ばれる膨らむ性質の糸を利用します。繊維の中に空気が入ることで、ふんわりとした風合いになるのです。