製品染め
概要
製品染めとは、生地を縫製して製品の状態(Tシャツやワンピースなど)になってから染色すること。後染めのひとつで、製品の生産過程のなかで一番最後に行われる染色方法です。
製品になった状態の生地を均等に染めることは難しく、色ムラや濃淡が出ます。また同じ型紙を使った製品であっても、製品が1つ1つ違った色味になります。
染め方を工夫することで、裾にかけてのグラデーションやカラフルな色の配置なども可能です。
製品染めの特徴
製品染めは製品を1つずつ染め上げていくため、絶妙な色ムラやグラデーションが生まれることが最大の特徴。また同じ製品でもまったく違う表情になることもあり、いわゆる「一点もの」を作ることにも適しています。
製品を染色する過程で濡らしたり絞ったり、場合によっては加熱するため、ハリのある生地がやわらかくなったり、しわができたりすることも。この風合いも魅力のひとつではありますが、ハリ・コシを残したい、ピンと伸ばしたい生地には不向き。
また裏地付きの製品で表地と裏地に違う素材が使われている場合、染色による加熱で収縮差が生じることも。表地が塩縮加工のように波打つことがありますが、この収縮差を持ち味ととらえるか、失敗ととらえるかで分かれます。
染色堅牢度が低いため洗濯すると色落ちや色移りしやすい点にも注意が必要です。
ただ、需要に応じて小ロットで生産・調整できる点などから、アパレルメーカーは製品の仕入れリスクを減らしたり、色の期中生産ができたりなど、工業的な視点ではメリットが大きいです。
製品染めのメリット
- 絶妙な色ムラや濃淡がある
- 一度染めればやわらかくなる
- 一点ものの製品を作れる
- 小ロットで生産できる
- 需要やトレンドに対応しやすい
- 収縮差により独特な風合いが出る
製品染めのデメリット
- 染色堅牢度が低く、色落ち・色移りしやすい
- 生地のハリ感が損なわれる
- 収縮差により不格好な製品になることも
その他
- 「製品染め」は英語で「ガーメントダイ(garment dye)」と言います。
- 製品染めはTシャツ、ワンピース、ブラウス、スカート、エプロン、肌着など比較的低価格の商品に用いられます。近年では、レザーバッグやレザージャケットなど皮革素材にも製品染めをすることがあります。
- 製品染めをした製品は新品であってもすでに経年劣化したような持ち味がある点が人気の理由です。USED感、ヴィンテージ感のあるアイテム作りにおすすめ。