保温加工
概要
保温加工とは、生地の保温性を高めたり、温感効果を持たせたりする加工法の総称です。
加工法には蓄熱させる方法や湿気を吸い取って熱に変換する方法など、さまざまな方法があります。※保温加工の種類は下部に掲載
近年の「ウォームビズ」によって需要が高まっており、技術の進歩が著しい加工方法です。冬場の衣類、肌着、靴下、下着などに幅広く用いられています。
保温加工の特徴
保温加工を施すことで、その名前の通り生地は「温かさ(暖かさ)」を「保つ」ことができるようになります。保温効果のある衣類を着ることで、真冬でも暖かく快適に過ごせるのです。
ポイントは「“発熱”加工」ではないこと。何も無いところから熱を生み出すことはできませんが、人は体から熱を発しているため、その熱を肌と衣類の間に保つことで暖かくなります。
太陽光や唐辛子の辛味成分の熱を利用するなど、暖かくする・暖かさをキープする方法はさまざま。さまざまな保温加工の施された生地を見比べると、それぞれ違った暖かさ・着心地があるので面白いです。
ただ、人は暖かい状態が長時間続くと汗をかきやすくなり、その汗によって細菌が増殖し、汚れたりカビたり臭ったりすることがあります。
いかにして体温調節をするのか、細菌を抑えるのか、同時に衣類の快適性(通気性・速乾性)を保つのかなどが課題になってきます。
保温加工のメリット
- 真冬でも暖かく快適に過ごせる
- どんな冬アイテムにも加工できる
- 加工方法が豊富なので素材や用途に合わせやすい
- 加工方法によって風合いや着心地が変わる
保温加工のデメリット
- 汗をかきやすくなることでカビや臭いが発生しやすくなる
- 体温調整や抗菌、快適性の維持など同時に考えるべき課題がある
保温加工の種類
蓄熱保温加工 | 吸収した太陽光を熱エネルギーに変換し、蓄熱させる加工。 |
吸湿発熱加工 | 体温により体から発散される水分を吸収し、熱に変換させる加工。これだけでは湿気でベトベトしやすいため、同時に吸水速乾加工が施されているものが多い。 |
遠赤外線加工 | 繊維に練り込んだ特殊セラミックの遠赤外線により発熱させる加工。 |
カプサイシン加工 | 唐辛子の辛味成分から抽出した成分を用いて温感効果を与える。 |
キルティング加工 | 生地と生地の間に羽毛や中わたを入れてステッチを施し、外に熱を逃がしにくくする。 |
ボンディング | 布地を肉厚にすることで、外に熱を逃がしにくくする。 |
ラミネート加工 | 透明フィルムを表面に貼り付け、熱を逃さなくする。防水性も向上。 |
その他
- 「保温加工」は別名「温感加工」とも呼ばれます。
- 保温加工の火付け役といえば、ユニクロの「ヒートテック」。アクリル繊維の吸湿発熱機能を利用し、冬インナーの代名詞ともなりました。