難燃加工
概要
難燃加工とは、生地を燃えにくく、あるいは燃えても燃え広がりにくくする加工法・機能加工のこと。
燃えやすい繊維には、綿・コットンなどのセルロース系繊維があります。近年では、羊毛・ウールや合成繊維にも難燃加工が施されることが増えてきました。
加工法は素材によって異なり、綿の「プロバン加工」や毛の「ザプロ加工」が代表的です。※難燃加工の種類は下部に掲載
主に、リン・塩素・臭素系の薬品で処置をする加工法が一般的です。
ただし、毛足の長いファーやナイロン、アセテートなど、加工できない素材もあります。また肌着など人の肌に直接触れるもの、枕やクッションのように充填物があるものにも加工できません。
難燃加工の特徴
難燃加工を施すことで、たとえ生地に火を近づけても燃えにくくなります。万が一火がついてしまっても燃え広がりにくいです。
中には燃えた際に炭化することで、自己鎮火できる難燃加工製品もあります。
しかし難燃加工にはデメリットも多いです。たとえば「燃えにくくなる」だけで、まったく燃えなくなるわけではありません。
難燃加工をすることで生地が変色・収縮したり、強度が落ちる、風合いがかたくなるなどの変化が起きやすいため注意しましょう。
その他、他の加工剤の上から重ねて加工しにくいという欠点もあります。たとえば綿素材の場合、同時に難燃加工と撥水加工を施せます。しかし撥水剤でコーティングされている上から難燃加工をするのは難しく、加工のタイミングが重要です。
難燃加工のメリット
- 生地が燃えにくくなる
- 火が燃え広がりにくくなる
- 自己鎮火できることもある
難燃加工のデメリット
- まったく燃えなくなるわけではない
- 他の加工剤の上から重ねて加工することが難しい
- 風合いがかたくなる
- 強度が低くなる
- 変色が起こりやすい
- 縮みやすくなる
- 加工できない素材や製品がある
難燃加工の種類
プロバン加工 | 綿素材に用いられる加工法。繊維を難燃材が包み込み、自己鎮火できる。衣類にも加工可能。 |
ザプロ | 毛素材に用いられる加工法。化合物を吸収させ、難燃性を高める。 |
その他
- 「難燃加工」は「防炎加工」とも呼ばれます。
- 映画館やカラオケ、ショッピングセンターなど大勢の人々が集まる公共の施設では、消防法で難燃加工が義務付けられています。公共施設のインテリア類には欠かせない加工法です。