縮絨加工
概要
縮絨加工とは、毛織物やニットの繊維をからみ合わせることで組織を緻密にし、肉厚で強度の高い生地を作る加工のこと。
毛繊維は熱や圧力をかけることで互いにからみ合う性質を利用し、生地を熱湯に付けたり、高熱の蒸気を当てたりして加工します。
スーツの素材として人気の高い「メルトン」や「フランネル」は制作の工程で縮絨加工をして作られます。フランネルよりもメルトンの方が縮絨が強いです。
さらに強く縮絨をかけると、硬い風合いで伸びにくい「フェルト」になります。
縮絨加工の特徴
縮絨加工をすることで組織の目が詰まり、隙間が埋まります。表面の手触りはなめらかになり、見た目はキレイに整って見えることから、スーツなどフォーマルシーンで活用するアイテムに人気の仕上げ加工です。
また体積自体は変わらないものの、生地が肉厚になります。空気の逃げる隙間が減ることで保温効果が高まり、見た目にもあたたかみがあるのでジャケットや冬物のパンツにも用いられやすいです。
繊維同士がからみ合うことで強度も増します。より強く縮絨するほど硬くなることも特徴ですが、硬すぎると使いづらくなるため、程度の調整は必要です。
作り手として嬉しいのが、生地のゆがみを取り除き、裁断・縫製しやすくなること。特に形が重要とされるスーツでは、美しいシルエットを作りやすいでしょう。
注意点としては、縮絨加工の性質上、圧力をかけ続けるとテカリやすくなることや、通気性が低下するため湿度が高いと蒸れやすくなることなどが挙げられます。
- 表面がなめらかな感触になる
- 表面がキレイに整って見える
- 生地が肉厚になる
- 保温効果が高まる
- 強度・耐久性が高まる
- 生地のゆがみを取り除く
- 毛羽立ちにくくなる
- 裁断・縫製しやすくなる
- 強い縮絨で風合いはより硬く、伸びにくくなる
デメリット
- 長時間の圧力でテカリやすくなる
- 湿度が高いと蒸れやすくなる
- 強い縮絨で硬くなるため使いにくいことも
その他
- 生地を熱湯に浸ける加工法は「煮絨」、高熱の蒸気を当てる加工法は「蒸縮」と言います。
- 「縮絨」は「縮充」と書く場合もあります。