和柄
概要
和柄とは、日本で古くから使われてきた伝統的な柄の総称です。
ひとくちで和柄といっても、かなり豊富な数の種類があり、それぞれに意味が込められています(※和柄の種類は下部に掲載)
和柄の中でも1つのパターンでどこまでも続いていくような幾何学模様は、物事が永遠に続くさまを思わせることから、特に日本で好まれてきた柄です。
めでたい意味や厄除の意味を持つ柄を「吉祥柄」と言って、祝いの心を表す柄として正月や婚礼などおめでたい席で着物などに使われてきました。(※吉祥柄の種類は下部に掲載)
和柄の特徴
チェックや水玉模様など外国で生まれた柄には深い意味を持たないものが多いですが、和柄には1つ1つにしっかりと意味があることがポイント。
たとえば某アニメで一躍有名になった市松文様は、その柄が永遠に展開されていくことから子孫繁栄や事業拡大などの意味を、麻の葉の「麻」は神聖なものとされていたことから、魔除けに使われたり、健やかな子供の成長を願ったりするときに使われます。
何気ない柄であってもこうした深い意味を持っているため、その意味に合わせた柄を選ぶという楽しみがあるのです。
また和柄は目を引きやすく、印象に残りやすい柄が多いのも特徴。日本で昔から親しまれてきたので、ひと目で「和柄だ」と気付いてもらえたり、どこか懐かしさを感じてもらえたりするでしょう。
ただデメリットとして、現代の欧米化した時代の中では若干浮きやすいことが挙げられます。「昔ながら」は言い換えれば「古くさい」とも言えるので、気になる場合には現代に合わせて進化したデザインを選ぶと良いでしょう。
和柄のメリット
- 日本の伝統柄
- 種類がとても豊富
- 1つ1つに深い意味がある
- 意味に合わせた柄選びが楽しい
- 目を引き、印象に残りやすい
- どこか懐かしさを感じやすい
- 衣類から食器まで幅広く使われる
和柄のデメリット
- 現代では周りから浮いて見えることがある
- 「古くさい」と捉えられることがある
和柄の種類
菱文 | ひし形を連続的に並べた柄 |
唐草文様 | 蔓草や蔦の葉がからみ合うさまを表現した柄 |
江戸小紋 | 細かい模様を掘った型紙で1色に捺染し、細かく散りばめた点の模様を白抜きで染め出したもの |
友禅 | さまざまな色で描いた、絵画の様に美しい模様 |
絣柄(かすりがら) | あらかじめ模様に従って染め分けた糸(絣糸)で織って作った模様 |
矢絣(やがすり) | 弓矢の矢羽根の様な形を交互に配置した柄 |
絞り柄 | 「絞り染め」という染色技法でできる柄の総称で、アジアに広く見られる |
鹿の子絞り | 小鹿の背中にあるような小さな白い斑点を散りばめたような、絞り染めの柄 |
青海波 | 扇形の半円を上下左右に配列し、波に見立てた柄 |
市松文様 | 2色の正方形を交互に並べた格子柄 |
渦巻文 | 螺旋状を描きながら、円の中心から外へ向かっていくように見える模様 |
鱗文 | 三角形を上下左右に並べ、鱗のように見立てた柄 |
麻の葉 | 麻の葉を抽象化し、正六角形を構成した幾何学模様 |
動物柄 | 架空の動物から実在の動物まで、さまざまな動物のモチーフを散りばめた柄 |
亀甲文様 | 正六角形を上下左右に並べ、亀の甲羅のように見せた模様 |
小巾柄(刺し子) | 「津軽小巾刺し」という刺繍で作った幾何学模様 |
立涌縞 | 向かい合わせた波状の曲線が並ぶ、変形縞 |
滝島 | 手書きの太い縞から細い縞へと、縞の太さが変わっていく柄 |
間道柄 | さまざまなデザインのたて縞が連なる柄で、中国や東南アジアから伝わった |
よろけ縞 | ゆるいたて縞が手書きで描いたように曲がりくねっている柄 |
吉祥柄の種類
「吉祥」は「めでたい兆し、良い前兆」という意味。動物・植物・物品など縁起が良いとされるモチーフで吉祥を表現しています。
金運の吉祥柄 | 宝船・七福神・宝づくし文様・如意宝珠・金嚢・巻物・分銅など |
文字の吉祥柄 | 福・吉・喜・寿・福助・福良雀・蝶(長)・鯛(めでたい)など縁起の良い文字を織り込んだもの |
動物の吉祥柄 | 鳳凰・龍・獅子・蓬莱山・桃・鴛鴦(おしどり)・ざくろ・ぶどう・瓢箪・唐草・青海波・麻の葉など |
その他
- 和柄は日本で独自に生まれたものの他に、中国やペルシャなどから渡ってきた柄をアレンジしたものもあります。そのため、外国の柄と似たような柄もあります。
- 和柄は中国や朝鮮との交流によって取り入れられ、日本で独自に発展。和柄のルーツの多くは平安時代以降から始まっており、江戸時代には歌舞伎役者が衣装に用いたことから大流行しました。
- 吉祥柄の別名には「縁起柄」「祝儀柄」「吉祥文様」「古典柄」「伝統柄」などがあります。