天竺編み
概要
ニット生地の代表格となるのが天竺編みです。別名「平編み」「メリヤス編み」と呼ばれることも。 片面はすべて表目、もう片面はすべて裏目にして、シングル・ニードルで編みます。すると、よこ方向への伸縮性が高い生地になるのです。巷に売っているTシャツやカットソーの、最も一般的な編み方でもあります。 また裁断・縫製しやすいように作られる反物状のものは「シングル・ジャージー」とも呼ばれます。
天竺編みの特徴
見た目には、表目にV字型、裏目に半円型の編目が表れ、裏表がはっきりわかるのが特徴。しかしこの編み方だと張力(テンション)の差が出てしまうため、端からカールしてしまうという欠点もあります。 ただ、よこ方向に伸びやすく、たて方向には伸びにくいため、アパレルアイテムとして着脱しやすい伸縮性、そして型崩れしにくい特徴を持っています。
素材にもよりますが基本的に保温性があり、セーターやカーディガン 、靴下などに最適。また通気性が高く快適に着られるため、Tシャツや肌着に使われることが多いです。
コットン、ポリエステルを中心として、他の繊維を混紡しながら作れるのも特徴。混紡することコットンの吸湿性の良さ、ポリエステルの乾きやすさなど、各素材の特徴を引き出せますが、各素材の欠点も出やすいので注意。
天竺編みは薄くて軽い生地になるのが特徴で、さらりとした肌触り、広い活用方法も、多くのアパレルアイテムに使われている理由のひとつだと言えます。
天竺編みのメリット
- ちょうど良い伸縮性
- 保温性がある
- 通気性・吸水性が高くサラッとした肌触り
- しわになりにくい
- 型崩れしにくい
- さまざまな繊維を混紡して作りやすい
天竺編みのデメリット
- 表裏の張力の違いによりカールしやすく、やや扱いづらい
- 麻など素材によっては羽毛立ちやすい
- 2wayの伸縮性が必要なスポーツウェアには不向き
その他
- 中国の歴史書『後漢書』ではインドが「天竺国」と表記されていました。よってインドからの輸入品は「天竺」や「天竺木綿」と呼ばれ、現代では「天竺編み」の呼称で普及しています。
- 糸に負担をかけないように手間をかけてゆっくり編んだ「吊り天竺」もあります。洗濯するたびに柔らかく、肌なじみが良くなる希少な素材です。
- 天竺編み(平編み)は最も一般的な編み方なので、簡単な生地であれば編み機がなくても手編みで作れてしまいます。