シャンタン
概要
シャンタンとは、たて糸に生糸、よこ糸に太さがバラバラの筋糸を使って平織りにした絹織物。
筋糸とは、1つの繭の中に2つの蛹が入った「玉繭」から採った、筋のある糸。「玉糸」とも言います。筋糸を使うことで、表面には不規則によこ方向の筋が入ります。
化学繊維のよこ糸にフィラメントを巻き付けて筋糸として使ったり、スラブヤーンというランダムな筋のある意匠糸を使うこともあります。
本来の素材は柞蚕絹(さくさんぎぬ)という野生の蚕(かいこ)から採れる絹を使います。しかし野生から採れる絹は高価なので、現在は綿・コットンや羊毛・ウールからナイロンやレーヨンなどの化学繊維を使ったものが主流です。
白地(オフホワイト)のまま、あるいは無地染め、プリントなどをして使用されます。
シャンタンの特徴
シャンタンは地厚で光沢感があるのが特徴。綺麗なドレープが出て、上品な印象があるので特にパーティドレスに人気です。
よこ方向の筋は絹の持つ光沢感とあいまって、よこ畝模様のようにも見えることがポイント。生地は軽やかでハリがあり、とてもしなやかで、きしむような独特の風合いを持っています。
絹素材のものはより光沢感が強く高級ですが、紫外線で変色しやすい、高価で手に入りづらいなどのデメリットがあります。
その代わりに使用されているのが化学繊維で、より強度が増し、染色しやすいなどのメリットがあります。
綿のシャンタンはより柔らかく、優しい雰囲気を持っていて衣類としても優秀です。
シャンタンのメリット
- 美しい光沢感がある
- ドレープ性がある
- 上品で高級感がある
- 地厚で独特の風合い
- 筋により表面に表情がある
- 軽やかでハリがある
- 化学繊維素材は耐久性が高く染色しやすい
- 綿素材は柔らかく優しい雰囲気
シャンタンのデメリット
- 絹素材は高価かつ紫外線に弱い
- 光沢感が強すぎるものもある
その他
- 「シャンタン」は柞蚕絹の産地である中国・山東省(シャントン)が由来。日本語では「山東絹(さんとうぎぬ)」と呼ばれることもあります。
- シャンタンと似たものに「ポンジー」があります。こちらも中国発祥で、「自家製の織物」という意味。野蚕糸を使って平織りにした、重めの絹織物です。
- シャンタンと混同しやすいものに「サテン」があります。シャンタンは平織りですがサテンは朱子織りです。どちらとも上品な光沢感が特徴。朱子織りにしたシャンタンは「サテンシャンタン」と言います。
- レディースはもちろん、メンズのファンシーなスーツにも用いられます。スーツの名産地イタリアのシャンタンには高級品が多いです。