モスリン
概要
モスリンとは、梳毛(羊毛などの繊維を梳いて長い繊維を残し、それらを糸にしたもの)の単糸を使って平織りした毛織物です。「メリンス」や「唐縮緬(とうちりめん)」とも呼ばれます。
素材は羊毛が一般的ですが、綿・コットン素材を使ったものもあります。羊毛素材は「本モスリン」、綿素材は「綿モスリン」といって区別することもあります。
外国から渡って来ましたが日本では綿素材のモスリンが主流で、和服地として使われていました。
名称を略して「モス」「とうち」と呼ばれることもあります。
モスリンの特徴
モスリンはとても薄手で軽いことが特徴です。また保温性の高い羊毛を素材としているので、薄手なのにとても暖かく、昔は着物や長襦袢として使われていました。
触り心地も肌に優しくソフト。さらに発色性に優れており、染めると鮮やかな色になるので、捺染をして使われることが多いです。
「ウール」としての素材が特徴にも現れやすくなっています。たとえば静電気が発生しにくい、虫食いになりやすいなどです。
軽く・暖かい・染色しやすいという特徴は、通念を通して何枚も重ね着する和服との相性が良かったことがポイントです。女性や子供の着物の裏地や帯・ふとんなどに人気の生地です。
モスリンのメリット
- 薄手で軽い
- 保温性が高く暖かい
- ソフトで優しい肌触り
- 静電気が発生しにくい
- 発色性が高い
- 染色堅牢度が高い
モスリンのデメリット
- 虫食いになりやすい
- 滑りが悪い
- ほとんど生産されていない
その他
- イラクの都市モスール(Mosul)で織られた綿布が発祥です。アラビア人が「モセリニ」という名称で輸出し、フランスで「モスリン」と名付けられました。
- 「メリンス」は羊の一種、メリノ種の毛を使用していたことが名前の由来です。
- 戦前は正絹の代替として、着物地や長襦袢、寝具、風呂敷などに使われ、繊維産業として一大ブームを巻き起こしました。しかし戦後は化学繊維の台頭と着物離れにより、衰退してしまいました。現代では生産量も少なくなっています。
- モスリンに似た繊維に「シャリー」があります。これは梳毛糸で平織りまたは斜文織りにした薄手の毛織物で、ペイズリー柄や小花柄などをプリントして用いられます。