テリークロス・パイル
概要
テリークロスとは、地組織に絡ませた甘撚りのパイル糸を引き出して、ループ状の糸(パイル/輪奈)を作るたてパイル織物です。パイル織物の中でも代表的な生地で、なおかつタオルに用いられる生地でもあります。
種類は片面パイル(片面タオル)に両面パイル(両面タオル)、また輪奈のままにした「アンカットパイル」や、輪奈をカットして毛羽立てた「カットパイル」といった種類まで。
素材は吸水性の高く優しい肌触りの綿が最も一般的ですが、化学繊維が用いられることもあります。
テリークロス・パイルの特徴
パイル糸を甘撚りにしてあるため、優しくやわらかな風合いが特徴です。見た目には、表面にループ状の糸がたくさん敷き詰められており、素朴な印象。
表面に輪奈の凹凸がたくさんできることで、吸水性・保水性にも優れます。タオル生地として使われるのは、表面の輪奈が水分をよく吸収してくれるためなんですね。たくさんの水を吸えるように、基本的に厚手のものが多いです。
また吸湿性も高く汗を吸って心地よく着れるため、タオル意外にもパジャマ、部屋着、ベビー服、子供服にも活躍してくれるでしょう。安価で手に入りやすいことも使いやすい理由の1つ。
テリークロスの最大の欠点は、輪奈がほつれてしまうことです。爪や衣類の金属部品、洗濯機の中の突起などにひっかかると、パイルは簡単に解けます。もし一部がほつれてしまったら引っ張らず、糸を切りましょう。
パイル織物は地布とパイル部分の多重構造であるため、比較的重たくなることにも注意。水分を吸うことでさらに重量が増すため、テリークロスのパジャマを着て汗をかきすぎると不快感を感じるかもしれません。
テリークロスのメリット
- 表面に無数のパイルがあり、素朴な印象
- 優しくやわらかな風合い
- 吸水性・保水性が高い
- 吸湿性に優れ汗をよく吸う
- 厚手でふわふわした手触り
- 安価で手に入りやすい
テリークロスのデメリット
- 表面のパイルがひっかかるとほつれやすい
- 比較的重さがあり、水分を吸うと重量が増す(厚手ほど重い)
その他
- 「テリー(terry)」の由来は「引き出す」を意味するフランス語「tirer」。
- タオルに使われる代表的な素材なので、別名「タオル地」「タオル織り」「タオルクロス」とも呼ばれます。
- テリークロスのバスローブの中で高級なものは、甘撚りの糸と織り方そのもので吸水性の高さ・肌触りの良さを実現。そのため何度洗ってもソフトで心地よい肌触りが続きます。
- 編んで作られた編み物のパイル地もあり、これを「ニットパイル」と言います。ニットパイルの方が、パイル織物よりも伸縮性が高いです。