チュールレース
概要
チュールレースとは、チュールを基布(ベース)にして、刺繍糸で模様を編み込んだり刺繍したりして装飾を施したレース。「エンブロイダリーレース」の一種です。
ベースとなる「チュール」とは、六角形の編み目を持つ薄い網状の生地・編地。ラッセル編み機でチュールを作り、その上からエンブロイダリーレース機で模様を編み込んでいきます。
そうすると、細かい編み目のチュール部分と刺繍部分がはっきり分かれ、柄模様があらわれます。チュール部分には刺繍をしても破れにくいように、ナイロン素材が使われることが多いです。
チュールレースの特徴
軽やかで涼しげ、そして透け(シースルー)素材でもあるチュールに刺繍を施すことで、可憐で美しいチュールレースが完成します。
特に刺繍糸を大量に使った繊細で高級感のあるチュールレースの場合、ため息が出るような美しさのレースもあるほど。特に花嫁のウェディングベールとして人気が高いです。
またチュールそのものにハリがあるため、ドレスやバレエ衣装のチュチュ、スカートのふくらみを出すペチコートとしても用いられるほど。
程よい透け感も魅力の1つ。チュール部分の編み目が大きいほど透明度は高くなり、よりセクシーになります。逆に編み目が小さいほど透明度は小さくなり、上品でおしとやかな雰囲気に。
チュール部分の濃さと刺繍分の柄模様の組み合わせを楽しめるのもポイントです。作り手にとっては、ほつれにくいのも嬉しいですね。
ただ最高級レースの「リバーレース」には繊細さに負けてしまうのが欠点。またチュール独特の強いハリ感により、やや硬めでゴワゴワした手触りになってしまうのもデメリットです。
また透けている分裏の縫い代などが見えやすく、生地の端処理にも工夫が必要です。
チュールレースのメリット
- チュール部分と刺繍部分の組み合わせ
- ふんわりと軽やかで涼しげ
- 可憐で美しい柄模様が多い
- レースの中ではハリがある方
- セクシーにも上品にもなれる透け感
- ほつれにくい
チュールレースのデメリット
- リバーレースの高級感には劣る
- ハリがあるので硬めの風合い
- 裏の縫い代が透けて見えやすい
その他
- チュールレースは「紗状レース」とも呼ばれます。「紗状」とは「薄衣」「薄い織物」などの意味。
- チュールレースには、ベース部分にラッセル編み機を使った「ラッセルチュール」が最も多いです。
- エンブロイダリー(embroidery)とは「刺繍」の意味。生地にそのまま刺繍を施したチュールレースと同じエンブロイダリーレースには、生地を溶解して刺繍部分のみを残す「ケミカルレース」もあります。
- チュールレースは元々、手工芸レースである「ボビンレース」の一種でした。ボビンレースは1つ1つ手作業なので、とても手間がかかり、高価なものでしたが、エンブロイダリーレース機の登場で作りやすくなったのです。