フェイクファー
概要
フェイクファーとは、本物の動物からとれる毛皮(リアルファー )を模して人工的に作った毛皮のこと。
アクリルやポリエステルなどの化学繊維を素材に、織物・編物のパイルをカットして羽毛立たせ、毛皮らしい風合いを出します。毛羽を先細りさせて刺毛・綿毛の風合いを出したり、毛先をカットして段を作ったりして表情を出すことも可能です。
染色技術も発達しているため、ミンク、フォックス、ラビットなどの独特なカラーを表現しています。さらに自然の色味だけでなく、ピンクやグリーンなどの鮮やかなカラーリングができることも、フェイクファーの魅力のひとつです。
近年のフェイクファーは、手触り・見た目・風合いにおいて、もはやリアルファーとの見分けがつきません。
フェイクファーの特徴
フェイクファーはリアルファーと同様に、動物の毛の風合いを持っています
リアルファーでは動物の個体によって品質にばらつきがありましたが、フェイクファーは一定の品質を保てる点がメリット。
また染色技術により、ヒョウ柄やダルメシアン柄など、本物の動物に似せたデザインも特徴です。リアルファーよりも幅広いカラーに染色できるため、ポップでカラフルなアイテムも作れます。
さらにリアルファーよりも安価かつ、安定した生産ができるため、アパレル市場に出回りやすいです。 近年は動物愛護・環境問題・倫理上の観点などからサステナブルな生地として注目されています。
その一方で、生産時に排出されるマイクロファイバーが海や川に流れ出て汚染してしまうことから「本当に環境のためになるか?」という議論も巻き起こっています。
フェイクファーのメリット
- リアルファーにも劣らない柔らかな風合い
- 見た目が華やか
- 安価で手に入りやすい
- 同じ品質のものを大量生産できる
- 染色・デザインの自由度が高い
- リアルファーよりお手入れしやすい
- サステナブル・エシカルな生地として注目度が高い
フェイクファーのデメリット
- 生産時に排出されるマイクロファイバーから海洋プラスチック汚染が課題に
- リアルファーなど高級品を手にしたときに得られる“満足感”が少ない
- 暖かさはリアルファーの方が勝る
その他
- 「フェイク(fake)」とは「偽物の」という意味です。同じ意味として「シンセティック・ファー」「イミテーション・ファー」「人工毛皮」とも呼ばれます。
- 主に化学繊維で作られるフェイクファーですが、モヘアや絹なども使われます。
- 1960年〜70年代、欧米を中心にリアルファーに反対する運動が広まりました。雑誌『VOGUE』がリアルファーの広告を掲載しないと宣言したり、著名なモデルや女優がリアルファーを身に着けないことを宣言したことが、リアルファー反対運動を後押ししました。
- 日本でも有名なブランド『H&M』『ZARA』『無印良品』などはリアルファーを使った商品の販売を廃止しています。
- 倫理的にはリアルファーよりもフェイクファーの方が良いとされていますが、リアルファーは自然に還せる(持続可能性がある)ことから、環境を守るならフェイクファーよりリアルファーと言われることもあります。こうした相反する課題は簡単に答えが出るものではありませんが、ぜひ一度考えてみるのもいいかもしれません。