デシン

概要

デシンとは、表面に細かく繊細なシボ（しわ）がある平織物のこと。

たて糸に無撚糸、よこ糸にS撚り・Z撚りの強撚糸を2本ずつ交互に入れて平織りします。その後、精錬することで強撚糸が元に戻ろうとする力が働くため、表面にシボが現れます。

本来は絹・シルクを使った織物ですが、近年はポリエステルなど化学繊維を使ったものも増えてきました。「クレープデシン」とも呼ばれます。

デシンの特徴

デシンはクレープ生地のひとつですが、シボの凹凸がとても繊細で、薄くてやわらかいことが特徴です。

落ち着いた光沢感とドレープ性があり、体に沿って落ちるので、落ち感良好。大変すべりも良く、アウターやスカートの裏地などにも適しています。

また、とても軽く、回るとふわりに広がることもポイント。上品でドレッシーなだけでなく、手触りもなめらかなので、ドレスから下着までレディースアパレル向きです。

細かいシボのおかげでシワになりにくく、あるいはシワになっても気にならず、アイロンいらずなのも嬉しいポイント。

ただしその薄さゆえに、淡色は透けやすいです。裏表を判別しにくいため、縫製時にはよく確認しましょう。

また絹素材の場合は美しいツヤがありますが、黄変しやすい、虫食いに遭いやすいなど、絹特有のデメリットにも注意です。

フラットクレープ	デシンとほぼ同じ製法で作られるが、シボがより平たく低い織物
パレスクレープ	フラットクレープよりもさらにシボが低く、見た目にはシボがわかりにくい織物

クレープデシンは「crepe de chine」と書いて、「chine」は「中国」の意味。フランス語で「中国ちりめん」を意味し、1820年頃にフランスのリヨンで中国のちりめんを真似て作ったものが発祥です。
デシンは「クレープ」や「ちりめん」の仲間です。ちりめんが日本の和クレープならば、デシンは中国の中華クレープのようなイメージですね。