ファイユ
概要
ファイユとは、よこ糸を太くし、たて糸を密に織ることでよこ畝を出した絹織物。
よこ糸には太めの中強撚糸、たて糸には甘撚糸を使用して密に平織りします。すると、よこ方向に細かく幅の狭い畝(ピッチは0.5mm以下)があらわれます。
ファイユには素材や畝の表し方によっていくつかの種類があります。※ファイユの種類は下部に掲載
絹・シルクや化学繊維のフィラメントヤーンで織られるのが一般的ですが、綿・コットンが使われることも多いです。
ファイユの特徴
ファイユはさらりとした手触りが特徴で、光沢感のある表面は涼しげな印象もあります。
やわらかな風合いを持っており、薄いですが密に織っているため透けません。しなやかでドレープ性がある一方でコシもあり、日常着から舞台・ダンスの衣装まで幅広く活用できます。
ただ、よこ方向へのハリがあるため、デシンやジョーゼットと比べるとドレープ性にやや劣る点、細かく綺麗なひだを作りにくい点などが欠点と言えそうです。
とはいえとても優雅で上品な雰囲気の生地なので、ブラウスやドレスなど、女性向けのドレッシーな装いに向いています。
絹素材のものは水に濡れると強度が低下して傷みやすくなったり、長時間紫外線に当たることで変色したりするため、お手入れや保管には注意しましょう。
ファイユのメリット
- さらりとした手触り
- やわらかな風合い
- 光沢感がある
- 透けにくい
- ドレープ性とコシがある
- 優雅で上品な印象
- ドレッシーな婦人服に合う
ファイユのデメリット
- デシンやジョーゼットよりドレープが出にくい
- 細かく綺麗なひだを作りにくい
- 絹素材はお手入れや保管に注意
ファイユの種類
ファイユクレープ | シボ(しわ)のあるファイユ生地 |
ファイユタフタ | よりはっきりとしたよこ畝があらわれたもの |
ファイユコットン | よこ糸に双糸の綿糸を使用したもの |
ピーチファイユ | 特に細かい畝で起毛や光沢のあるもの |
その他
- 「ファイユ(faille)」とはフランス語で「断層」という意味。細かな畝が断層面に見えることから。
- ファイユに似た生地に「グログラン」や「オットマン」があります。
- グログランにもよこ畝(ピッチは1mm程度)がありますが、より盛り上がっていて凹凸があり、丸みを帯びているのがポイント。オットマンは畝の幅が最も広く大きく(ピッチは2mm以上)、はっきりと出ているのが特徴です。