ビーバー
概要
ビーバー とは、動物の「ビーバー」のように長めの毛羽で覆われている紡毛織物です。
斜文織り、または朱子織りの紡毛織物に強く縮絨を施した後、起毛させて長い毛羽を出して均一に刈りそろえます。そこからさらにプレスして、たて方向に寝かせて仕上げます。(=ビーバー仕上げ)
この仕上げをすることで、北米・ヨーロッパ北部・ロシアなどに生息する動物「ビーバー」とよく似た風合いや手触りの生地になるのです。
素材はメリノウールや、高級なものだとモヘアとの混紡も。安価なものには毛と化学繊維の混紡もあります。色は黒・茶・紺の無地、もしくは霜降りのダークカラーが中心です。
ビーバーの特徴
ビーバー は長い毛羽のため、光沢感・ツヤがあります。モヘアやカシミアなど高級毛素材を混紡したものはさらに光沢が増し、高級感が出ることがポイントです。
やわらかな毛羽で密に覆われている見た目は、どこかエレガントで上品な印象です。
また長めの毛が一方向に伏せている感じが、他の毛織物にはない特徴の1つでもあります。やわらかく暖かみのある触り心地もあって、レディース用のコートにおすすめ。毛羽は長いですが伏せているので、チクチクしません。
コートのほか、パンツや帽子などのアイテムにも向いています。保温性があるため、真冬でも暖かく過ごせるでしょう。
ただ価格はメルトンなどと比べてやや高価。普段着よりおしゃれ着向きの生地です。自宅での洗濯には向いておらず、クリーニングに出す必要があります。
また高級な毛素材ほど虫食いに遭う可能性があるため、オフシーズン中の保管には虫食い対策をしましょう。
ビーバーのメリット
- 光沢感・ツヤがある
- さらに光沢の強いものは高級感がある
- 上品な印象
- 触り心地がやわらかい
- 暖かみのある風合い
- 保温性が高い
- チクチクしない
ビーバーのデメリット
- やや高価
- 自宅で洗濯できない
- 虫食いに遭いやすい
その他
- 動物のビーバーは良質な毛皮を持っています。黒や赤褐色の色をしており、やや硬いですが、内側にある綿毛は密集しており、白っぽくやわらかいことがポイント。ビーバーの刺毛を抜き、綿毛のみが使われることが多いです。
- ビーバーは長い毛羽に密に覆われることで、織目が見えません。