ベネシャン
概要
ベネシャンとは、表面に急角度の細い畝がななめに入る朱子織り、あるいは変化斜文織りで作られる毛織物。
織組織はたて糸が4枚浮いて1本沈む「5枚サテン」が多く、通常のサテンよりも厚手の織り上がりに。遠目からはわかりませんが、近づいて見ると密に畝が入っていることがわかります。
もともと素材は紡毛糸が主流でしたが、最近では綿・コットンやレーヨンなども使われるようになりました。表面はたて糸で覆われよこ糸が見えない、とても手の込んだ織物です。
ベネシャンの特徴
ベネシャンの見た目はほぼマットな質感ですが、光の当たり具合や角度によってはマイルドな光沢が見えることもあります。耐久性があり丈夫です。
厚手ですがテロっとした落ち感があり、なめらかな風合い。目が詰まっているため引き締まって見え、カジュアルウェアからフォーマルウェアまで幅広く活用できます。
またしわになりにくいため、お手入れが簡単なのも嬉しいポイントですね。
ただドレープ性があるためピッタリサイズで着るクラシックなスーツやジャケットというよりも、バブル期に流行したようなオーバーサイズで着るスーツの方が得意。鮮やかな色合いとも相性が良いです。
化学繊維で織られたベネシャンはより耐久性が高く、さまざまな機能加工も施しやすいため、斜光カーテンやクッションカバーなどのインテリア製品にも使われています。
春・秋・冬などの季節で活躍しますが、通気性は日本の湿度の高い夏場には適していません。
ベネシャンのメリット
- 光の当たり方によってマットにもツヤにも見える
- 厚手で耐久性があり、丈夫
- テロっとしたドレープ性
- なめらかすべすべした風合い
- 目が詰まり、引き締まって見える
- しわになりにくい
- 化学繊維ならより耐久性が高い
- カジュアルからフォーマル、インテリアまで幅広く活用可能
ベネシャンのデメリット
- ピッタリサイズのスーツには不向き
- 夏場の衣類には不向き
その他
- ベネシャンの名前の由来はイタリアの都市「Venice(ベニス)」で作られていたことから。発音の違いで「ベネッシャン」と呼ばれたり、略して「ベネ」と呼ぶこともあります。また「ベネチアの風」という意味も。
- 実際、バブル期にはベネシャン素材のオーバーサイズスーツが流行しました。現在でも中高年の方は「ベネシャン」と聞くと、イケイケだった頃を思い出す人も?