ツイード
概要
ツイードとは厚手の紡毛織物のこと。「紡毛糸」とは刈り取った羊毛を揃えたり伸ばしたりせずそのまま紡いで作る糸で、その紡毛糸を使って綾織りしたものがツイードになります。
本来はイギリス・スコットランド産の羊毛を太く紡いで手織りしたものを指していましたが、現代では産地を問わず、機械織りしたもの、平織りしたもの、梳毛糸を使ったものまで、幅広い綾織物の総称となっています。
さらに染色した糸を使って織ることで繊細な柄を表現したものも。産地や羊毛の種類、織り方などにより、多くの種類のツイード生地があります。※ツイードの種類を下記に掲載
ツイードの特徴
紡毛糸は使う羊毛の量が多いため、ツイードも肉厚でざっくりとした風合いになります。丈夫で破れにくく、数十年使い続けられるほど耐久性も高いです。
スコットランドの厳しい寒さにも耐えられるように作っているため体温を保温しやすく、防寒性が高いことも魅力のひとつでしょう。
シンプルなツイードは素朴な印象ですが、綾目で千鳥格子やヘリンボーン、グレンチェックといった柄を表現でき、柄によって上品にもスタイリッシュにもなれることがポイント。
ツイードは最初は硬い風合いですが、使えば使うほど自分の肌に馴染んでやわらかくなっていきます。長年使うほど味わいのある生地になるのです。
ただ、大量の羊毛を使うため重量があります。その重量のおかげで暖かいとも言えるのですが、長時間着用すると肩が凝るかもしれません。
またウールを素材にしているものは縮む可能性があるため、水洗いできません。天然繊維のものは虫食いに遭いやすく、定期的なお手入れとオフシーズンには適切な保管が必要です。
ツイードのメリット
- 肉厚でざっくりしている
- 数十年使えるほどの耐久性
- 保温性・防寒性が高い
- 幅広い色柄を表現できる
- 使うほどやわらかく味わい深くなる
- スコットランドの伝統を味わえる
ツイードのデメリット
- 重量がある
- ウール素材は水濡れに弱い
- 天然繊維素材は虫食いに弱い
ツイードの種類
ハリスツイード | スコットランドのハリス島作られ、最高級品質を誇る伝統的なツイード |
ドネガルツイード | アイルランドのドニゴール地方で作られ、手織りの素朴な風合いのツイード |
シェットランドツイード | スコットランドのシェットランド諸島で作られ、ふっくらとした風合いのツイード |
ライトツイード | 細い糸を使用し、比較的薄手で軽いツイード |
サマーツイード | 麻・綿・絹・化学繊維などで作られた涼しげなツイード |
シルクツイード | 絹・シルク素材で作られ、華やかな光沢感のあるツイード |
ファンシーツイード | カラフルな色糸を使用した遊び心満載のツイード |
シャネルツイード | ファンシーツイードの一種で、ココ・シャネルがこよなく愛したと言われるツイード |
その他
- 「ツイード」の語源は2つ。スコットランド語で「綾織り」という意味の「tweel」の説と、スコットランドのツイード川流域で作られていたからという説です。どちらにせよ、スコットランドが発祥であることから「スコッチ・ツイード」とも呼ばれます。
- ツイードはとても伝統的な素材であることと、耐久性が高く長持ちすることから、ヨーロッパにはツイードジャケットを親子三世代受け継ぐ家庭もあるのだとか。
- ツイードの中で最も高い品質を誇るのは「ハリスツイード」です。スコットランド北西のハリス島で作られるツイードで、粗めで地厚に手織りしたものが特徴。1909年にハリスツイード協会が発足し、世界で唯一、国会の制定法で保護されている生地です。