ウールギャバジン
概要
ウールギャバジンとは、ギュッと高密度で織られた綾織物のこと。たて糸がよこ糸の2倍以上の密度で織られています。トレンチコートとして使う際には、さらに表面を樹脂で覆う防水加工が施されているものがほとんどです。
表面には45度から75度の急傾斜の綾目が表れていますが、かなり密度が高いので遠目からではわかりません。
「ギャバジン」「ギャバ」「クレバネット」などとも呼ばれます。
素材は羊毛・ウールを中心に、綿・コットンなどの天然繊維やポリエステルなどの化学繊維、さらに混紡繊維まで幅広いです。特に綿を使ったものは「コットンギャバジン」「綿ギャバ」と呼ばれます。
ウールギャバジンの特徴
羊毛を密度高く織ることで空気の通り道が少なくなり、保温性に優れた生地になります。表面に美しく控えめな光沢感が出るのも、さらに丈夫で耐久性があるのも、密度が高いからこそです。
特に光沢については、ウールの性質により長年使うほどより光沢感が増していきます。
コートに使われやすいことからもわかるとおり、硬すぎずやわらかすぎず、適度なハリ感とほどよいしなやかさがあります。さらにドレープがきれいに出るため、裾や丈の長いアイテムほどおしゃれに仕上がりますよ。
あえてシワを出すことも可能で、シワがあってもおしゃれでカジュアルな印象になります。
防水加工処理によって水濡れに強いアイテムにもなるため、雨の季節のレインコートや寒い冬のコートとしても活躍してくれるでしょう。
しかしウールギャバジンは洗濯すると縮んでしまうという欠点があります。お手入れには洗濯ではなく、ブラッシングやクリーニングがおすすめです。
ウールギャバジンのメリット
- 保温性に優れている
- 落ち着いた光沢感がある
- 長く使うほど光沢感が増す
- 丈夫で耐久性が高い
- ほどよりハリ感とやわらかさ
- ドレープがでやすくファッション性が高い
- デザインのひとつとしてシワを出せる
- 防水処理で水濡れに強くなる
ウールギャバジンのデメリット
- 洗濯すると縮む
- アイロンにより一部だけテカることがある
その他
- 中世時代、ユダヤ人や農民が着ていた長いコートにギャバジンが使われていたのが発祥と言われます。そのコートや上着を「ギャバジン」と読んでいたため、そのまま名前の由来となりました。
- 1880年代、トーマス・バーバリーがギャバジンのコートを開発しました。しかし当時は戦争の時代だったため、兵士用の防水コートとして使われたのが始まりです。そこから改良が重ねられた結果、現在のハイブランド「バーバリー」のトレンチコートになったのです。
- ギャバジンのトレンチコートは古い映画のワンシーンにもしばしば登場しており、寒いニューヨークでの街歩きに適しています。男女問わずタフでカッコイイ、哀愁漂う印象になれますよ。