トロピカル
概要
トロピカルとは、細い梳毛を使って平織りされた薄手の毛織物のこと。「クリア仕上げ」といって、芝刈りのように表面をカットして仕上げられます。
スーツ用としてもっともポピュラーな生地です。また夏向きのウールである「サマーウーステッド」や「クールウール」のひとつでもあります。
暑い地域に適したスーツでインド・マレーシアなどに輸出されていたことから、「tropical(熱帯)」という名前が付きました。「トロ」と略されることもあります。
元々は羊毛・ウールなどが使われていましたが、現代は毛とポリエステルの混紡、ポリエステル100%のものが主流です。
トロピカルの特徴
トロピカルはウール素材がほとんどなので夏は暑いイメージがありますが、実は通気性が良く、夏でも涼しく快適に着られる素材です。風合いもさらさらしていて吸湿性にも優れています。
また軽いことやハリがあることも特徴で、スーツやワンピースなどきちんと感が求められるフォーマルウェアに最適。なめらかな風合いも持っています。
ポリウレタンを使ったものであればストレッチ性もあり、さらに快適な夏用衣類になるでしょう。
ただし梳毛を使っているため毛羽立ちが気になりやすく、お手入れはドライクリーニングが必須。
また亜熱帯などカラッとした地域で使われてきた生地ですが、湿度の高い日本では、しわになったり表面が波打ったりなどの影響が出ることもあります。
トロピカルのメリット
- 通気性が高く快適に着られる
- さらさらした風合いで夏向け
- 軽くて着ているときの不快感が少ない
- ハリやなめらかさもありフォーマル向け
- 吸湿性に優れじめじめしにくい
トロピカルのデメリット
- 毛羽立ちが目立ちやすい
- 湿度が高いとしわになりやすい
- 湿度が高いと表面が波打ちやすい
その他
- トロピカルを使った柄には、一般的には無地や霜降り、ストライプなど比較的シンプルなものが多いです。涼しいけれど品のあるトロピカルは、今も昔も紳士服の素材として長く愛用されています。
- トロピカルに似た織物に、アメリカのパームビーチ社が作った「パームビーチ」があります。こちらも夏用のスーツによく使われ、別名「パンピース」とも呼ばれます。
- 同じくスーツ用素材に「サージ」があります。トロピカルは夏向け、サージは冬向けという違いや、色柄などにも違いがあります。
- 「トロピカル」は亜熱帯という意味ですが、その名前にふさわしく、クールビズの際に積極的に取り入れたい素材です。