ダマスク
概要
ダマスク はジャカードクロスの一種。ジャカード織り機を使って紋織りにし、さまざまな模様を浮かび上がらせます。ダマスクは表と裏に同じ図柄(反転した図柄)が現れるのが特徴です。
基本的にはたて糸とよこ糸に同じ色を用いて、うっすらと模様を浮かび上がらせますが、違う色を用いることでよりくっきりとした模様を表現することも可能。
元々は絹(シルク)で織られていましたが、現在はシルキー加工(シルケット加工)をした綿糸を使用しているものがほとんどです。
ダマスクの特徴
ダマスクは模様が見えることが、一番わかりやすい特徴でしょう。表と裏に反転した図柄が浮かび上がるため、リバーシブルに使えます。
たて糸とよこ糸を同じ色にするか、違う色にするかで浮かび上がる図柄の印象も大きく変わることがポイント。たとえば青と水色など近い色味の糸を使用すると、派手になりすぎず、だけどしっかりと存在感のあるダマスクになりますよ。
また硬いイメージのジャカード織りですが、ダマスクは意外と薄手で軽いです。テーブルクロスやナプキンなどに用いられ、衣類ならジャケットやドレスがおすすめですよ。
絹糸、またはシルキー加工をした綿糸を使用しているため、光沢感があることも特徴。高級感があり、図柄もエレガントであることから、インテリアに人気です。
先染め糸を使用していることから、色落ちもほとんどありません。
ダマスクはおしゃれで豪華な柄が特徴ですが、同じ柄をプリントで表現したものと比べると、どうしても値が張ってしまうことはデメリットだと言えるでしょう。特に色数が多いほど高価です。
またエレガントな雰囲気の図柄が多いため主に女性向けで、カジュアルな装いには不向きです。
その他
- ダマスクと同じジャカードクロスには、「ブロケード」や「綸子(りんず)」などがあります。
- 「ブロケード」はダマスクより色数も多く重めですが、表と裏がはっきり分かれるのでリバーシブルには使えません。「綸子(りんず)」はよりやわらかく光沢感に富み、主に着物の打掛や長襦袢に用いられる和風な素材です。
- ダマスクの発祥には2つの説があります。1つはシルクロードの西の終着点である、シリアのダマスカスが原産地だから。もう1つは、発祥は中国ですがダマスカスを経由して欧州に伝わり、ダマスカスで発展したという説です。
- 現在でもダマスカスでのダマスク生産は発展しており、伝統的な技法で多数の色糸を使った装飾性の高い生地を生産しています。