ブッチャー
概要
ブッチャーとは、平織りの中にたて糸・よこ糸ともに2〜3本引き揃えて織るななこ織りを不規則に織り交ぜる綿織物です。変り織・変化組織の一種。
平織りとななこ織りを組み合わせることで、麻織物のような手触りと不規則な凹凸ができます。密度は粗めで、ふっくらとした厚みです。あえて隙間をあけて織ることで、たて糸とよこ糸の織りが強調されます。ドビー織機を使って織ったものが多いです。
綿・コットン素材が一般的ですが、麻・リネンを使ったものや、毛織物、化学繊維などもあります。また、ウールやスラブ糸を使えばもっと厚みを出すこともできます。
ブッチャーの特徴
ブッチャーの表面にはさまざまな形・大きさの凹凸があり、その凹凸によって水分を吸収しやすく、通気性も高くなっています。吸水速乾性があるため、さらりとした肌触りで着れたり、洗濯後に乾きやすいなどのメリットも。
また強度が高く、特に摩擦に強いです。立体感があることで見た目にも独特な表情が出て、爽やかな印象があります。
麻本来のシャリ感ではありませんが、素朴な風合いで手触りは粗剛。綿本来のやわらかさはないので、綿天竺のようなやさしい肌触りは期待できません。
ただ麻によく似た涼しげな生地なので、スカート、ワンピース、ジャケットなど夏服の生地としてピッタリ。上品で高級感のある印象の衣類を作ることもでき、フォーマルな衣類にも活用可能です。
ブッチャーのメリット
- 通気性が高い
- 吸水速乾性が高い
- さらりとした肌触りが長時間続く
- 強度が高く摩擦に強い
- 凹凸で立体感のある見た目
- 独特な表情がある
- 爽やか・涼しげな印象
- 素朴な風合い
- 高級感がある
- フォーマルにも取り入れられる
ブッチャーのデメリット
- 麻本来のシャリ感ではない
- 綿本来のやわらかさがない
その他
- 「ブッチャー(butcher)」とはイギリスの肉屋のことを指します。エプロンに使われていた麻織物の風合いを綿織物であらわしたことから、この名前がつきました。
- 近年は毛織物のブッチャーも増えており、高級感のある紳士スーツ・婦人スーツを作れます。
- 衣類として用いられることが一般ですが、涼しげなので透け感があるものは麻のれんの変わりとして使われることもあります。