デニム
概要
デニムとは、しっかりとした厚みのある綾織物のことです。表面にたて糸の藍色、裏面によこ色の白色がそれぞれ見えます。
デニムはロープ染色という製法で作られます。10番手〜20番手以下の太さのある糸を用い、たて糸は2〜3本ほどロープ状に糸染め。すると、糸の芯までは染まりません(中白)。
この糸を使って斜文織り(斜め方向に線が見える織り方・ツイル)することで、表面が摩耗したときにたて糸の芯が現れ、白っぽく見えてきます。これが、使い込むほどに色落ちして味わい深くなるデニムの仕組みです。
藍色が代表的なカラーですが、硫化染料によってグレーや黒にも染められます。現在は赤や緑などカラーバリエーションが豊富になりました。
素材は綿が中心で、綿とポリエステル、綿とポリウレタンなどの混紡もあります。
デニムの特徴
デニムの特徴といえば、その肉厚さと藍色(インディゴブルー)、そしてやや硬めの風合いです。丈夫で破れにくく、一時期は肉体労働者のワークパンツとして広まったほど。
あえて色落ちしやすいロープ染色にすることで、使い込むほどに色素が薄くなり、味わい深くなります。またヴィンテージ感を出すためにウォッシュ加工やクラッシュ加工など、さまざまな加工をすることも可能。
カジュアルでファッション性が高いため、世界中で出回っているオーソドックスな生地です。
ただ色落ちしやすいことや厚み・硬さがデメリットに転じることもあります。
色落ちするとその色を長く楽しみたい人には不向きですし、他の衣類に色が移ることも。また厚み・硬さにより動きづらかったり、蒸れやすかったりします。
デニムのメリット
- 肉厚で硬めの風合い
- 耐久性が高い
- 洗濯や摩耗により色合いが変化
- 使い込むほどに味わいが出る
- さまざまな加工をしやすい
- ファッショナブル
- カジュアルな印象
- 世界中どこでも手に入りやすい
- 意外とカラーバリエーションが豊富
デニムのデメリット
- 同じ色を長期間楽しめない
- 厚みがあるため蒸れることもある
- 硬いため動きにくいこともある
- 厚すぎ・硬すぎなデニムは縫製しにくい
その他
- デニムとジーンズの違いをご存知でしょうか?デニムは生地の名前、ジーンズは製品の名前と覚えましょう。ただ現代においては、ジーンズのことを「デニム」と呼ぶなど、ジーンズの代名詞としてその名が広まっています。
- フランスのニーム地方で生産された綾織物が発祥で「serge de Nimes(セルジュ・ド・ニーム)」がなまって「デニム」という名前になりました。
- 「かつらぎ」もデニムと同じ太い糸を使用した綾織物ですが、後染めのため、デニムのようなたて落ちはしないという違いがあります。
- ジーンズブランド「リーバイス」の原点は1850年の西部開拓時代。金鉱で働く人々にキャンバス地のワークパンツを売ったところ、大流行しました。そこから生地がデニムになり、改良を重ねて現在のリーバイス社になっています。
- リーバイス社はファッション誌にジーンズの広告を出稿し、あらゆるブランドがコレクションにデニムを取り入れ、またあらゆるハリウッドスターがデニム生地のジーンズを履きこなしました。20世紀後半にはワークパンツのイメージがファッションのイメージに変化し、現在では世界中で親しまれる生地となっています。