楊柳
概要
楊柳とは、表面にたて方向の細長いシボ(しわ)が表れた平織り生地のこと。クレープの一種です。
たて糸に無撚糸、よこ糸に強撚糸をZ撚りかS撚りを用い、平織りにしたあと精錬します。すると、よこ糸の元に戻ろうとする力が働き、布がよこ方向に縮んでシボが現れます。
シボは一定間隔のものもあれば、不均等のシボになる「ナチュラル楊柳」のタイプもあり、シボの現れ方によって表情が変わります。
綿・コットンが主流な素材ですが、麻・リネンや、綿・麻の混紡、綿・ポリエステルの混紡などでも作られます。
楊柳の特徴
楊柳は表面に凹凸が表れることで肌に触れる表面が少なくなり、生地が肌に張り付くのを防ぎます。
また吸水速乾性が高く、風通しも良いため、湿度の高い夏でもさらりとした着心地が続くのです。清涼感のある見た目や手触りも魅力。
たて方向のシボも涼しげで爽やかなデザインのひとつとして楽しめるだけでなく、洗濯してもしわが気にならず、ノーアイロンでそのまま着用できます。
しかし薄手で保温性がないため、秋冬用アイテムにはあまり向いていません。またシボがカジュアルな雰囲気を作っており、フォーマルな場面でのアイテムにも不向きです。
楊柳のメリット
- 肌との接着面が少なく張り付きにくい
- 汗をよく吸い放散し、快適な着心地
- 通気性が高くさらりとした着心地が続く
- たて方向のシボがデザインのひとつとなる
- 洗濯してもしわが気にならない
- ノーアイロンでそのまま切れる手軽さ
- 高温多湿の日本の夏にピッタリ
楊柳のデメリット
- 寒い地域や秋冬アイテムには不向き
- フォーマルなアイテムには不向き
その他
- しだれ柳のような細長いしわがあることから「楊龍」と名付けられましたが、海外ではまとめて「クレープ」と呼ばれます。
- 「京ちぢみ」あるいは「縮み」や「楊柳クレープ」と表現されることもあります。
- 楊柳は安土桃山時代に日本に伝えられ、高温多湿の風土に合い、江戸時代には日本各地に普及。特に京都での生産・発展が活発でした。
- シボにはたて方向のみのシボ(片シボ)と、方向性の定まらないシボ(両シボ)があります。クレープは両シボ。対して、同じくシボのある楊柳は片シボです。