ブロード
概要
ブロードは本数の違うたて糸とよこ糸を使用して緻密に織られた、よこ畝のある平織物のことです。「ブロード・クロス」とも言います。
たて糸にはよこ糸の2倍の本数を使用することで、その密度の差によってよこ畝が表れます。ブロードでは美しい光沢感と丈夫さをあわせ持つ細番手のコーマ糸を使用。それにより、上質な生地に仕上がります。
使用する糸の細さによって薄地のものから厚地のものまであり、中でも80番手以上の極細番手を使用したブロード生地は高級素材とされています。
ブロードの特徴
ブロード生地は張りがありながらも、やわらかくて肌触りが良いことが特徴です。加えて、ツヤ・光沢感もポイント。その上質な見た目から、ブラウスやシャツドレスまでフォーマルなアイテムによく活用されています。
また加工しやすい生地としても有名です。シルケット加工や防縮加工、リップル加工のほか、無地染め・プリントなどの染色ができるなど、活用の幅が広い定番生地です。
しっかりと緻密に織られているため薄手でも丈夫で縫いやすく、一般家庭でも取り扱いが簡単。形状記憶性もあるため、たとえばスカートや袖部分のギャザーを作りたいときにも適しています。
ただひとつだけ注意したいのは、シワになりやすい点です。洗濯機から取り出した後そのまま干しただけではシワは取れず、また畳みジワもつきやすい生地。
家庭での取り扱いが簡単な一方で、フォーマルに使い続けるにはお手入れの手間がかかるかもしれません。
ブロードのメリット
- やわらかく、肌触りが良い
- 適度なツヤ・光沢感がある
- 丈夫で縫いやすい
- さまざまな加工がしやすい
- シャツからインテリアまで活用の幅を広げやすい
ブロードのデメリット
- シワになりやすく、お手入れに手間がかかる
ブロード生地はシワが残らないようにアイロンを当て、ハンガーにかけて保管すると良いでしょう。
その他
- よく似た生地にポプリンがありますが、ブロードは細番手のコーマ糸を使用し、ポプリンよりも密度が高くなります。またポプリンよりもよこ畝が目立ちません。
- 緻密でしなやか。言い換えれば「高級ポプリン」。ビジネスに必須なYシャツなどの生地として定番です。
- 英国では「ブロード=ポプリン」と同義で使われており、明確に分類されていません。
- 「ブロード(broad)」は「幅広」という意味。もともとは起毛したフェルト状の毛織物のことを指していましたが、現代では綿の平織物のことを指します。