羊毛 ウール
概要
羊毛は読んで字のごとく「羊の体毛」のことで、代表的な動物天然繊維。「羊毛」のほか「毛」「ウール」と表示されます。ただし「毛」と表示される素材にはアンゴラ・カシミヤ・モヘア・キャメル・アルパカなどもあるため注意しましょう。 市場に最も出回っている品種はメリノウールですが、品種改良によって3000もの品種があり、それぞれ違った特徴を持っています。代表的な品種の一部を特徴下部にてご紹介します。羊毛は年に1度春頃に刈り取られ、1枚の毛皮の状態「フリース」になります。1頭の羊からは3〜5kgほどの毛が取れ、汚れや脂肪分を洗って取り除いた後、紡績して糸にします。
羊毛 ウールの特徴
羊毛の主成分はケラチンというタンパク質です。表面はうろこ状のスケール(毛髪のキューティクルのようなもの)で覆われています。スケールの表面で水を弾きつつ、水滴より小さな水蒸気を隙間から吸水。よって、吸湿性と撥水性という一見すると相反する性質を持ち合わせます。 また保温性が高いことも特徴で、繊維がよじれながら波打っていることで嵩(かさ)が増し、繊維の中にたくさんの空気を含んでいるためです。
羊毛・ウールのメリット
- 冬は暖かく夏は涼しい
- 水を弾き濡れにくい
- 染色堅牢度が高く、色落ちしにくい
- 汚れがつきにくい
- 静電気が発生しにくい
- 弾力性があり、型崩れしにくい
- 燃えにくい
羊毛・ウールのデメリット
- 湿度が高いと繊維が伸縮しやすい
- 一度濡れるとしわになりやすい
- 洗濯に注意しないとフェルト化しやすい
- 羽毛立ちやすい、毛玉ができやすい
- 虫に弱い
ウールの代表的な種類
メリノウール | オーストラリアが主要な生産国。毛が細くて白く、柔らかな触り心地。衣類からインテリアまで幅広く活用できる。 |
コリデール | メリノの改良種。メリノより若干毛が太いが肌触りが良く、光沢感がある。衣類のほか、手芸品店で売られている毛糸にも使われる。 |
ブラックフェース | 顔の黒い羊から取れる羊毛。毛足が長く、太く、かため。カーペットやブランケットに使用される。 |
ロムニー | イギリスケント州のロムニー原産だが、飼育されているのはニュージーランド。太くて長く、かつ丈夫なので高級カーペットに使われやすい。 |
クープフォース | ニュージーランドで飼育される羊の約20%を占める品種。他の羊よりも成熟が早い純血種でもある。 |
ペレンデール | とてもタフな品種で、荒れた土地でも飼育しやすい。弾力性のある毛質で毛糸に使われやすい。 |
サフォーク | イギリスサフォーク州原産で、イギリスに多い品種。弾力性があり、毛の太さや長さのバランスが良い。ツイード、フラノ、フェルトなどに活用される。 |
ドライスデール | 耐久性が高く、最も太い番手のウール。直毛でハリ・コシがあるほとんどカーペット専用。 |
その他
- 紀元前5000年以上前、中央アジアで羊を放牧し、毛織物を作ったのが始まりだと言われています。
- アルカリ性溶液に浸けて圧力や摩擦を加え、繊維組織の密度を上げたものが「フェルト」になります。
- 良質なウールであることを証明する国際基準マーク「ウールマーク」があります。ウールマークを取得するにはいくつかの基準をクリアしなければいけません。
- 羊への成長促進剤の投与、糞で虫がわくのを防ぐためのミュールジング(お尻の皮膚と肉を切り取る)などが見直されつつあります。