キュプラ
概要
キュプラの原料はコットンリンターです。コットンリンターは綿の種子に生えている短い繊維。本来は綿繊維としては使われませんが、キュプラにすることで資源の有効活用につながっています。 またキュプラは人工的に作られた化学繊維であるのと同時に、自然の植物を原料とした再生繊維でもあります。 製法は凝固液中で繊維化する「湿式紡糸法」。コットンリンターを銅アンモニア溶液に溶かし、細口のノズルから水中に押し出して繊維にします。断面はきれいな円形になっており、とてもなめらかです。 キュプラ自体にも裏表はあり、絹のように触り心地がなめらかな部分が表、少しザラつきを感じるのが裏です。
キュプラの特徴
キュプラはレーヨンよりもさらに絹に近い風合いの繊維として作られましたが、レーヨン以上に優れている特徴を多数持っています。 細くてしなやかな繊維ですが、強度が高くしわになりにくいです。鮮やかな発色と美しい光沢感、そしてドレープ性があるので、エレガントな雰囲気に。紫外線による変色も少ないです。 また吸湿性が高く、クセになるようなサラサラの触り心地。静電気も起こりにくく、またスカートなどのまとわりつきも軽減するため、裏地に使われることが多いです。 欠点は水洗いすると縮んで変形しやすいことと、摩擦に弱く羽毛立ちしやすいこと。また製造している企業が少ないため希少性が高く、高価で手に入りづらい生地です。 多くのメリットがあるものの、実はデリケートな素材でもあります。クリーニングに出すのが理想的ですが、自宅で洗う場合には摩擦しないように優しく扱わないといけません。
キュプラのメリット
- 強度・耐久性が高い
- しわになりにくい
- 染色性が高く鮮やかな発色
- 紫外線に強い
- 上質な光沢感
- 吸湿性が高くサラサラ
- 静電気が起こりにくい
- 高級感がある
キュプラのデメリット
- 伸縮性が低い
- 水洗いすると収縮してしまう
- 摩擦に弱い
- 製造している企業が少ない
- レーヨンより高価
- デリケートなのでお手入れに注意
その他
- 名前の由来は「cupurammonium rayon(キュプラモニウムレーヨン)」から。日本語では「銅アンモニア・レーヨン」。
- 上質ですが希少性も高いので、高級スーツ、オーダーメイドスーツなどから、高級婦人服、和服まで、高級志向のアイテムに人気。
- キュプラはサステナブルな生地として注目されつつありますが、実は世界でほんの数社しか製造していません。1919年からドイツのベンベルグ社が製造しており、「ベンベルグ」という商標があります。日本では1931年に旭化成が生産開始。
- ベンベルグは土に埋めることで自然に還り、製造過程も省エネに取り組んでいるエコロジー素材です。
- レーヨンの原料は木材パルプ、キュプラの原料はコットンリンターと、製法や見た目は同じでもまったく異なる素材です。