ナイロン
概要
ナイロンとは、原料からポリマー(高分子化合物)を作り、それを加熱・溶液化し、細いノズルから押し出して冷却した繊維のことです。原料に石油・石炭・天然ガスなどを使用した化学繊維・合成繊維です。
1935年、アメリカのカローザスがナイロンを発明し、その後デュポン社が工業化しました。その頃のキャッチフレーズは「空気と水と石炭から作られ、鉄よりも強く、蜘蛛の糸より細く、絹のようにしなやかである」。ナイロンは化学構造の違いによっていくつか種類があり、衣類として使われる代表的なものはナイロン6とナイロン66の2つ。※生地の特徴にて解説。さらに、強度・耐熱性が高められた「アラミド」も実用化が進んでいます。
そのほか、ナイロンと他の繊維を組み合わせた新しい風合いの複合繊維、ナイロンフィラメントの芯に炭素系物質を入れて制電性を持たせた繊維など、さまざまなナイロンが開発されています。
ナイロンの特徴
ナイロン繊維の断面は円形で、側面には突起もなくつるりとしています。そのためナイロン生地の手触りもつるりとして冷たいことが特徴です。最も強度が高い繊維であり、油、薬品、海水、カビ、虫などに強く保存しやすいです。
伸縮性と弾力性もあり、摩擦に強くてしわになりにくく、また発色性の高さや、静電気が起きにくいなどのメリットから、衣類に幅広く使われています。
デメリットとして、耐熱性に弱い点に注意。しかし熱可塑性(熱で変形し冷やすと形が固定される性質)もあるため、熱セットすることで製品の形を変えたり、寸法が安定したり、型崩れが起きにくくなったりなどの利点もあります。
その他のデメリットには、天然繊維に比べ吸湿性が低い点や、コシがないこと、日光に長時間当たることで黄変することなどが挙げられます。
ファッション性としては、鮮やかに発色しますが、あまり高級感はありません。また吸湿性が低いため、蒸れやすい、ベタつきやすいなどの課題が残ります。
とはいえ、同じ合成繊維であるポリエステルと同様に生産量が多く、それほど扱いやすい定番繊維・定番生地であることに変わりはありません。
ナイロンのメリット
- 強度が高く引っ張りに強い
- 耐久性があり摩擦に強い
- 伸縮性・弾力性がある
- 保存しやすい
- 熱可塑性により安定しやすい
- しわになりにくい
- 鮮やかに発色する
- 静電気が起きにくい
- 市場に出回りやすく、安価で手に入りやすい
ナイロンのデメリット
- 天然繊維より耐熱性に劣る
- 吸湿性が低く蒸れやすい、べたつきやすい
- コシや高級感がない
- 日光に当たりすぎると黄変する
ナイロン6とナイロン66の違い
ナイロン6 | ナイロン66の後にドイツや日本で生産され、日本で主流。 |
ナイロン66 | ナイロン6より耐熱性にやや優れ、アメリカ・イギリスで主流。 |
その他
- ナイロンは世界で初めての合成繊維です。
- 名前の由来は諸説あり、「No Run」(伝染しない)から来ているとも言われています。現在ナイロン製のストッキングが主流ですが、従来の絹のストッキングより安価で広く普及しました。
- ナイロンはポリアミド合成樹脂の種類のひとつでもあるため「ポリアミド」と呼ばれることもあります。