幾何学模様
概要
幾何学模様とは、円・直線・曲線などの図形によって構成されている柄の総称のこと。動物や植物などをモチーフにしていても、デフォルメされて図形のようになっていれば幾何学模様に分類されます。
幾何学模様は大きく分けると4つの種類があります。
- 点が基本要素……点描、水玉、円、同心円など
- 直線が基本要素……縞、格子、ジグザグ模様、雷文、卍(まんじ)など
- 曲線が基本要素……波形、らせん、渦巻
- 面が基本要素……三角形、四角形、多角形、ひし形、立方体
同じ種類だけでなく、さまざまな種類を自由に組み合わせることで幾何学模様ができあがります。※もっと詳細な幾何学模様の種類は下部に掲載
幾何学模様の特徴
「幾何学模様」という名前自体はそれほど聞き馴染みがなくても、水玉や市松文様などはどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか?
幾何学模様はシンプルで単純な柄から、図形が複雑に組み合わさっている柄、規則性のある柄、不規則な柄、とても繊細な模様のある柄など、とても種類が多いです。またカラフルで派手なもの、同系色でまとめられたものなどがあります。
種類が膨大にあるため特定の特徴を断言できるものではありませんが、非写実的な抽象柄と比べると「点」や「曲線」などの図形があることが最大のポイントです。
比較的目を引きやすく、目立ちやすい柄が多く、ファッションやインテリアのアクセントにしやすいです。
逆に言えば、他の柄と組み合わせるとちぐはぐで派手すぎる印象を与えてしまうため注意。柄ものは1点だけ取り入れる、使う面積を小さめにするなどして、全体とのバランスを考える必要があります。
幾何学模様のメリット
- 図形がわかりやすい
- とても種類が多い
- モチーフや意味を持つ柄もある
- 華やかで目を引きやすい
- アクセント使いに便利
幾何学模様のデメリット
- 派手なので悪目立ちしたり浮いて見えたりすることがある
- 他の柄と一緒に使うとうるさくなる
- 柄の取り入れ方・使い方に注意が必要
世界の幾何学模様
水玉柄 | 小さな円を規則的・不規則的に並べたオーソドックスな柄。 |
モンドリアン柄 | オランダの画家「ピエト・モンドリアン」の作品「コンポジション」の構図を取り入れた柄。 |
イタリアン柄 | 大胆で色彩豊か、インパクトのある柄。エミリオ・プッチの「プッチ柄」はイタリアン柄の代名詞的存在。 |
アラベスク文様 | モスクの壁面装飾などに見られる、どこまでも続くような繊細な柄。ユークリッド幾何学から影響を受けた |
アール・デコ模様 | 直線的で簡素な柄。パターンの組み合わせで、合理性・機能性を重視。 |
アール・ヌーボー模様 | 曲線的で植物などをモチーフにしたものが多い柄。繊細で装飾性が高い。 |
日本の幾何学模様
市松文様 | 2色の正方形を交互に並べた柄。格子柄・チェック柄のひとつ。 |
鱗文 | 三角形を上下左右に並べ、魚の鱗のように見える柄。 |
菱文 | 菱形を連続的に並べ、どこまでも展開していく柄。 |
麻の葉 | 麻の葉をモチーフにした、正六角形をどこまでも展開していく柄。 |
亀甲文様 | 亀の甲羅をモチーフにした、正六角形を上下左右に規則的に並べた柄。 |
七宝つなぎ | 同じ大きさの円、または楕円を4分の1ずつ重ね、上下左右に規則的に連続させた柄。 |
その他
- 「幾何学(きかがく)」とは、もともと図形の性質を研究する学問のことでした。幾何学模様は別名「幾何柄」「ジオメトリック」「ジオメトリックパターン」とも呼ばれます。
- 旧石器時代にわかりやすいモチーフを持つ具象柄が誕生し、遅れて新石器時代に幾何学文様が誕生・発達しました。特に紀元前1000〜700年頃までのギリシャの美術様式を「幾何学様式」といって、とても芸術性の高い幾何学模様が見られました。