具象柄
概要
具象柄とは、私たちの身の回りにある人物・動物・植物・食物・風景・乗り物・有機物などをモチーフにしてデザイン化した柄の総称のこと。具象柄のほとんどは、生地の上にプリントされます。
別名「フィギュラティブ・パターン(figurative pattern)」や「自然模様」とも呼ばれます。
特に伝統的な具象柄は、その土地の歴史・気候風土・思想など文化的背景が表現されることが多いです。そのため文化研究の参考資料として具象柄が利用されることもあります。
具象柄の特徴
具象柄の特徴は、その柄を見ただけで何の柄なのかすぐに理解できることです。
世の中に存在するあらゆる事物が対象なので、具象柄には数多くの種類があります。※具象柄の種類は下部に記載
具象柄はその華やかで賑やかな特徴から、パッと目を引きやすい柄でもあります。モチーフの配置や色の使い方によって、子供っぽくもなり、大人っぽくも表現できるのもポイント。
しかし無地や抽象柄と比べると派手で主張強めな印象になりやすく、フォーマルウェア等では敬遠されがちです。カジュアルウェアやインテリアなどに上手く取り入れると良いでしょう。
また具象柄は先染め糸で表現することが難しく、後染めで表現するのが基本です。そのためどうしても色落ちしやすい、素材によっては染色しにくいなどの欠点もあります。
具象柄のメリット
- 柄を見ただけでモチーフがわかる
- 華やかで賑やかな印象になる
- 後染めでさまざまな柄を表現できる
- 地域の伝統や思想が読み取れる
- 季節や地域に合わせて選ぶ楽しさがある
具象柄のデメリット
- プリント(後染め)なので色落ちしやすい
- 素材によっては染色しにくい
- 派手な印象になりやすい
- フォーマルなシーンでは控えられる
具象柄の種類
花柄 | 花をモチーフにした最もポピュラーな柄。花の種類や配置、大きさなどでイメージが変わる。 |
フルーツ柄 | 果物をモチーフにした柄。表現方法で大人っぽくも子供っぽくもなる。 |
トロピカル柄 | 南国の植物や生き物をモチーフにした柄。熱帯地方の地域色が出て、夏物の衣類との相性が良い。 |
エスニック柄 | 植物や食物、動物などを独特な色合いで民族調に表現した柄。 |
アニマル柄 | ヒョウやゼブラなど、動物の毛皮模様を模した柄の総称。 |
吉祥柄 | 松竹梅や鶴亀など日本で縁起物とされるモチーフを描いた柄。 |
エルメス柄/スカーフ柄 | ハイブランド『HERMES(エルメス)』のきらびやかなスカーフの柄の総称。馬や馬具などを用いた絵画的な柄。 |
その他
- 近年は、特定のブランドがオリジナルにデザインした柄が、具象柄の名称として世間で定着することも増えてきました。先述したエルメス柄の他にも、セリーヌの馬車モチーフなどもあります。
- 上品な小花柄のことを「リバティ柄」と呼びます。これは、イギリスのリバティ社が出した草花の生地が由来で、現在はリバティ社の生地でなくても「リバティ柄」「リバティ・プリント」と呼ばれています。
- 日本の縁起の良いものをモチーフにした吉祥柄は、祝事に着用する着物や帯に使われ、昔から親しまれてきました。
- 柄を見てすぐに何をモチーフにしたのかわかる「具象柄」に対し、具体的なモチーフを持たない柄のことを「抽象柄」と言います。