絞り染め
概要
絞り染めとは、糸で生地を固く括り、括った部分を防染した状態で模様を作る染色方法です。後染め・捺染のひとつ。
糸で括った部分は着色されず、それ以外の部分は着色されることから、模様を作ることができます。また1色のみで染める単色染めはもちろん、複数の色を使って染める多色染めも可能。
さらに面白いことに、糸で固く絞った箇所にはしわ・凹凸が残り、その凹凸自体もが生地の持ち味となります。
また絞り染めのやり方は100通り以上あるとも言われており、色柄の幅広い表現方法があります。
絞り染めの特徴
絞り染めはアジアの伝統的な染色方法で、オリエンタルな雰囲気漂う生地ができあがります。また日本でも発展しており、日本らしい和風な柄も作れます。
色に染まるだけでなく凹凸ができ、生地の風合いがより柔らかくなることもポイント。ハリ感を残したい商品には向いていませんが、ストールやインテリア、春夏向けワンピースといった商品には向いています。
また他の後染めと同様、スピーディーに染色できるため生産が効率化されます。ただ後染めのデメリットとして、染色堅牢度が先染めに劣る点に注意しましょう。
- 括り方や色の組み合わせによってさまざまな柄を表現
- オリエンタルな雰囲気がある
- 和柄も表現できる
- 絞った後の凹凸が独特な風合い
- 絞った後は風合いがやわらかくなる
- 生産を効率化できる
絞り染めのデメリット
- 染色堅牢度が低く、色落ちしやすい
- ハリを残したい生地には不向き
- 素材によっては思うように括れず、染色できないこともある
代表的な絞り染めのやり方
鹿の子絞り | 布を四つ折りにして、その角を7〜8回括ることを繰り返す。鹿の背中のまだら模様のようになる。 |
巻き上げ絞り | 糸で模様の輪郭を縫い縮めたり、糸で巻いて縮めたりしてから染色する。花柄などを表現できる。 |
三浦絞り | 「三浦針」という鈎針を用いて絞り、染色する。独特な柄になるだけでなく、凹凸が多く柔らかな風合いになる。 |
その他
- 絞り染めは英語で「tie dye(タイダイ)」と言います。聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。やり方は糸で括って染めるだけと簡単なので、一般家庭でも挑戦しやすいです。
- 絞り染めは古来から世界各地に存在していました。発祥はインドや中国などといわれており、インドのアジャンター石窟群の壁画に絞り染めと見られる衣装を着た女性が描かれています。
- 日本では奈良時代から登場したといわれ、愛知・有松や京都を中心に発達してきました。
- 絞り染めを応用した加工法に、皮革の絞り加工があります。皮革を薬品などでやわらかくして絞ることで、あえてしわを施したり、型を付けていく加工方法です。