撥水加工
概要
撥水加工とは、シリコンやフッ素、樹脂などの撥水剤を使って布地の表面で水を弾くようにする加工方法のことです。繊維表面に撥水剤をコーティングし、撥水基(水の分子より小さな突起状のもの)の膜を作ります。すると水が表面に付着しても、撥水基により布地への浸透を防ぎます。
撥水加工された生地の基準となるのが「耐水圧」と「透湿性」です。耐水圧はどれくらいの水圧に耐えられるかを数値化したもので、傘なら250mm以上、レインコートなら2000mm以上必要とされています。
透湿性は蒸れを外に逃す性質を数値化したもので、蒸れにくいレインコートなら最低5000g以上、快適なレインコートなら10000g以上が必要です。
撥水加工の特徴
撥水加工された生地に水滴が付くと、中に浸透することなく、表面張力を起こし玉状になって転がり落ちます。
湿気はより分子の小さな水蒸気になるので、撥水基の間を通ります。水をしっかり弾きつつも、通気性が高く衣料用に向いています。
ただし「水を通さない」わけではありません。水の量が極端に多かったり、圧力がかかりすぎたり、また霧雨のような小さな水滴の場合でも、隙間から水が浸透してきてしまうことがあります。 レインコート、アウター、傘、キャンプテント、靴など、目的に合わせた生地選びが何よりも重要です。
撥水加工をするための生地の素材となるのは、ナイロンやポリエステルなどの合成繊維が一般的です。撥水加工をするからには「水に濡れる」と想定しているため、あらかじめ水に強い合成繊維が使用されます。
撥水加工のメリット
- 表面に付いた水を弾き、浸透させない
- 通気性があって蒸れにくい
- 効果が落ちても撥水スプレー等により復活できる
撥水加工のデメリット
- 汚れや摩擦などで徐々に撥水効果が薄れる
- 完全に水の侵入を防げるものではない
- アイロンをかけると溶けやすい
その他
- 撥水効果が落ちないようにお手入れするには、中性洗剤または専用洗剤を用いること。柔軟剤や漂白剤は表面のコーティングを落とす可能性があるので使用は避けましょう。ドライコースか、洗濯機が使用できないものは手洗いを推奨します。
- 撥水効果が薄れてきたと感じたら撥水スプレーで効果を復活させることも可能です。
- 防水加工は生地そのものが防水になるように加工するため、撥水加工よりも効果が高く長持ちします。しかし一度劣化したら元には戻らないため、トータルで見ると繰り返し撥水剤でコーティングできる撥水加工の方が長持ちすることもあります。