撥油加工
概要
撥油加工とは生地に撥油材をコーティングすることで、油を弾く加工のことです。生地に油性の汚れがついた場合には、拭き取るだけで簡単に汚れを落とせます。仕組みは撥水加工と同様で、表面張力により油汚れを弾きます。
生地表面に塗布するのは、主にフッ素系化合物のコーティング材です。また市販でも「スコッチガード」などの撥油加工商品が販売されています。中でもNANO tex社が開発した「ナノテックス」はさらに進化した撥水・撥油加工です。ナノレベルで繊維に撥油加工を施し、汚れをつきにくく、かつ落としやすくしてくれます。「ナノテックス」はその優秀さから、綿や合成繊維の生地のほか、スーツなどの毛織物にも用いられています。
撥油加工の特徴
生地の表面に撥油材を塗布することで、油性の汚れが付いても繊維まで入り込みません。つまり食べこもしや油はねが付着してもシミにならないのです。
付着した汚れは布巾などでさっとひと拭きすれば簡単に落とすことができます。特にエプロンやテーブルクロスなど「食」に関するアイテムによく使われています。
実はフッ素は、油・水どちらも弾きます。つまり撥油性を持たせることは、同時に撥水性も持たせることができるのです。油性・水性の汚れをどちらとも防げるので、ストレスなく料理や食事ができるでしょう。
ただ、表面をコーティングしているだけで繊維そのものに撥油効果はありません。何度も洗濯して撥油効果が薄れてしまうと、もとには戻らない点に注意しましょう。
効果が薄れてきたと感じたら、先述した市販の撥油材「スコッチガード」などをスプレーするのがおすすめです。
撥油加工のメリット
- 油性の汚れを防げる
- 水性の汚れも防げる
- 汚れが付着しても拭き取るだけで落とせる
- 汚れのシミが残らない
撥油加工のデメリット
- 洗濯・摩擦・経年劣化により効果が薄れる
- 強い圧力がかかると染みてしまうことがある
その他
- 撥油性と同時に撥水性の効果を持つ加工のことを「防汚加工」とも言います。
- フライパンなどに用いられているテフロン加工も、表面に撥油材をコーティングする加工法です。
- 「ナノテックス」の場合、繊維の風合いを保ちつつ、通気性や耐久性にも優れています。そのためスーツなど長く着用する衣類によく取り入れられているのです。