防縮加工
概要
防縮加工とは、洗濯しても生地が縮まないようにする加工法のこと。
生地に使われている素材によって、防縮加工のやり方はいくつかあります。
綿織物の場合、適度な水分を与えてあえて強制的に収縮させ、安定させます。水分を与えるだけなので薬品類を使用しておらず、最も安全性が高いです。
ウールなどの毛製品の場合、スケール(うろこ状の表皮、いわばキューティクル)が互いに絡み合って縮みます。そのため塩素でスケールを除去したり、樹脂加工でスケールの凹凸を覆ったりすることで、防縮加工を施します。
合成繊維の場合、熱処理をすることでその寸法が安定するようになります。
反物や編物の状態で加工を施し、その後の縫製や製品化に影響が出ないようにするのが一般的です。
防縮加工の特徴
防縮加工をすることで、普通は洗濯機で洗えないようなアイテムを洗濯できるようになったり、たて方向・よこ方向ともに縮みにくくなったりと、一般家庭での生地の扱いがかなりラクになります。
綿織物なら、防縮加工により洗濯時の縮みを1%以内に抑えられるため、たとえば仕事で毎日使うようなYシャツなどは長持ちするようになるでしょう。
ドライクリーニングに持っていかないといけないような毛製品でも、自宅で洗濯してお手入れできるため、お金の節約にもつながります。
また消費者だけでなく、作り手にとっても重要な加工法です。防縮加工がしてあることで前もって水通しする必要がなくなったり、製品化した後に縮んで着られなくなったりなどのトラブルも防ぎます。
ただ、防縮加工をするには薬品類が必要な場合もあり、水質汚染など地球環境への影響が懸念されます。
防縮加工のメリット
- 生地がたて方向・よこ方向ともに縮みにくくなる
- 家庭で洗濯できるようになる
- 水通しなど前処理が不要になる
- 製品化後のトラブルを防げる
- アイテムが長持ちしやすくなる
- お金の節約につながる
- 生地を扱いやすくなる
防縮加工のデメリット
- 薬品類を使う加工法は地球環境への影響が懸念される
その他
- 綿織物の防縮加工は、発明者の名前にちなんで「サンフォライズ加工」とも呼ばれます。アメリカのクルエット・ビーボデー社が商標権・特許権を持っています。
- 毛製品の防縮加工にはいくつかの種類があります。「ネバーシュリンク加工」「ダイラン加工」「バンコーラ加工」「スーパーウォッシュ加工」など。
- 合成繊維の熱処理を行う防縮加工は「熱セット加工」といいます。
- 防縮加工+坊しわ加工+プリーツ保持性などの3つを施すことを「形態安定加工」といって、洗濯しても縮んだりしわになったりせず、アイロンなしで着れるようになります。