シルキー加工
概要
シルキー加工 とは、絹(シルク)以外の素材に対して絹のような光沢感を与える加工の総称です。加工のやり方は素材によって適した方法がそれぞれ異なります。
絹に光沢があるのはフィブロインというタンパク質が光を反射しているためで、上質で高級感のある生地になっています。しかし綿やポリエステルなどの合成繊維には光沢感がないため、そうした素材にツヤを出すためにシルキー加工が施されます。
以下では、シルキー加工の種類を3つご紹介します。
シルケット加工
綿素材に用いる、最も代表的なシルキー加工。繊維が収縮しないように引っ張りながら、苛性ソーダに浸して処理します。綿糸・綿布どちらの状態でも加工できるのが特徴。
どの綿素材にも加工できますが、特に「コットンサテン」「ポプリン」「ブロード」など比較的高級な綿織物に用いられています。
シュライナー加工
主に綿に対して用いられる加工法。45度の細い筋が入った高熱のローラーに加圧しながら生地を通し、光沢感を出します。
ただ一時的なものなので、洗濯等により効果が落ちていきます。そのため樹脂に前加工を施し、効果を永続させる場合もあります。
減量加工
ポリエステルなどの合成繊維フィラメントに用いる、絹の精錬の原理を利用した加工法。
苛性ソーダで繊維の表面を5%〜20%ほど溶かして減量し、繊維と繊維の間の隙間を大きくします。すると光沢感が出るだけでなく、しなやかでドレープ性のある生地になります。
シルキー加工の特徴
シルキー加工を施すことで、これまで光沢のなかった生地にツヤが出ます。そのツヤが上品さを演出し、ワンランク上の高級感ある生地に生まれ変わるのです。
またシルケット加工なら染色性が増して発色が良くなったり、強度が増したり、縮みにくくなるなど付加効果もあるのがポイント。シルケット加工は使い勝手が良いので、代表的なシルキー加工だと言えますね。
シュライナー加工は高圧力で加圧するので生地にハリが、減量加工は繊維の外側を溶かすので、自ずと生地が薄くなり、透け感が出るなど、それぞれにメリットがあります。
絹(シルク)は高価で手を出しにくい素材ではありますが、シルキー加工を用いることで、安価だけど高級感のある生地を作れるのです。
ただしデメリットとして、一時的にしか効果がなかったり、生地の耐久性が落ちることなどが挙げられるので注意。
またツヤがある分、アイロンを当てるとテカリやすくなるため、アイロンをする場合は当て布が必要です。
シルキー加工のメリット
- 光沢感・ツヤが出る
- 上品な装いで高級感がある
- 染色性が増す
- 強度が増す
- 縮みにくくなる
- 透け感が出る
- 適度なハリが出る
- 安価で高級感のあるシルク調素材を作れる
シルキー加工のデメリット
- 一時的にしか効果のない加工もある
- 耐久性の落ちる加工もある
- アイロンを当てるとテカリやすくなる
その他
- シルケット加工は、糸の状態で加工したものを「先シルケット」や「シルケット糸」とも言います。
- 日本では「シルケット加工」と呼ばれるのが一般的ですが、イギリスのジョン・マーサーが発見したので「マーセライズ加工」が本来の名称です。
- 「シュライナー加工」はドイツのシュライナーが発見したことが由来。別名「疑絹つや出し加工」とも言います。
- 減量加工は、マイクロファイバーやコンジュゲート糸にも用いるこが可能。減量加工による「新合繊」という高品質の糸もあります(ニューシルクなど)。