カレンダー加工
概要
カレンダー加工とは、金属ローラーの間に生地を通し、熱をかけながら加圧(プレス)し、生地表面をフラットにする加工法です。この加工により生地表面には落ち着いた光沢感が生まれます。
「チンツ加工」はカレンダー加工の一種で、糊付けをした後同じように金属ローラーで加圧、圧縮します。糊付けをしていることで、通常より強めの光沢感が出るのです。
ただ、洗濯を繰り返すと糊が落ちてしまうため、樹脂加工をしてからローラーで加圧する「エバーグレーズ加工」が主流です。
カレンダー加工の特徴
カレンダー加工は生地そのものをプレスして光沢感を出すため、表面には何も保護していない状態。ラミネート加工等と比べると高い防水効果は得られませんが、日常使いしやすい落ち着いた光沢感が魅力です。
また、圧力をかけるために重量のある金属ローラを使用するので、表面が凹凸していたり、粗い目になっている生地でも問題なく加工できます。圧力により表面はフラットでなめらかになるのと同時に、ハリ感も出ますよ。
表面がなめらかになることで肌との摩擦が減ります。そのため、肌離れが良く足にまとわりつかないパンツやスカートなどにおすすめ。
ただ他の光沢感を出す加工法に比べると、光沢感が弱いです。チンツ加工の場合強い光沢を出せますが、洗濯により効果が落ちやすい点にも注意しましょう。
カレンダー加工のメリット
- 落ち着いた光沢感が出る
- 表面が凹凸していても処理可能
- フラットでなめらかな表面
- ハリ感がある
カレンダー加工のデメリット
- 強い光沢感は出せない
- チンツ加工は洗濯により落ちやすい
その他の光沢感を出す加工
光沢感を出す加工方法はいくつもあり、どれもよく似ているので迷いやすいかもしれません。ここでは、カレンダー加工以外の光沢感を出す加工の違いを簡単にまとめました。
シルキー加工 | ローラーで加圧したり繊維を溶かしたりして、絹のような落ち着いた光沢を与える。 |
ラミネート加工 | 表面をポリウレタン樹脂素材などのフィルムで覆い、光沢感と防水性を持たせる。 |
コーティング加工 | 表面に樹脂などタイプの違うコーティング剤を塗布して、光沢感や肌触りを変化させる。 |
エナメル加工 | 表面をエナメル樹脂でコーティングし、独特の強いツヤを出す。コーティング加工の一種。 |
どんな光沢感を出し、どんな機能性を持たせたいかによって、最適な加工法を選びましょう。
その他
- カレンダー加工をする機械を「カレンダー」または「圧搾ロール」「艶付ロール」と言い、カレンダーに通すことを「カレンダー掛け」と言います。
- カレンダー加工の一種「チンツ加工」。「チンツ」は元々更紗模様をプリントした平織物のことですが、このチンツに似せた加工をすることから「チンツ加工」と呼ばれています。
- カレンダー加工は、表面に凹凸を作る「エンボス加工」や、絹のような光沢感を作るシルキー加工の一種「シュライナー加工」などに応用されている、非常に便利な加工法です。