エンボス加工
概要
エンボス加工とは、凹凸のある剛鉄製ローラーを加熱し、ローラーに生地を通してプレス(加圧)しながら模様を付ける加工法のこと。凹凸の模様が生地全体に転写されます。
エンボス加工を施しやすい素材は、熱可塑性(加熱すると変形し、冷却すると再び固まる性質)のあるナイロン、ポリエステルなどの合成繊維です。
綿・コットン、レーヨン、リアルレザーなど熱可塑性のない天然繊維を加工する場合、先に樹脂を塗布してから、樹脂の熱可塑性を利用してエンボス加工を施します。
ローラーの凹凸にはチェック、ストライプ、ドットなど幾何学模様やレザー調模様から、木目、波型、具象柄までさまざまです。ちりめんのような風合いにするローラーもあります。
エンボス加工の特徴
エンボス加工をすることで、平坦だった生地表面に模様を作り、デザイン性を高めることができます。
強くプレスされる凸部分には光沢ができ、凹部分には光沢がないため、この光沢の差がより模様を引き立たせていることもポイント。
ファッション製品でのエンボス加工は幾何学模様が代表的ですが、小物やインテリアなどに名前や日付を入れることも可能です。模様を浮き彫りしたローラーさえあれば、自由に模様や文字を表現できることも魅力ですね。
凹凸のローラーでプレスすることで、触り心地も立体感のあるやわらかな風合いに変化。フェイクレザーをリアルレザーに近い風合いにするために用いられる加工でもあります。模様と合わせて、より高級感を演出できるでしょう。
熱可塑性のある合成繊維であれば半永久的に模様が残り、かなり高温に晒されない限り落ちません。
ただし熱可塑性のない天然繊維にエンボス加工をした場合、洗濯により表面に塗布した樹脂が剥がれてしまうため、エンボス加工の模様も落ちやすくなります。
合成繊維でも高温に晒され続けると変形し、模様が消えるため、アイロンがけの際は強く押し当てすぎないようにしましょう。
エンボス加工のメリット
- 表面に模様が浮き出てデザイン性が高まる
- さまざまな模様や文字を表現できる
- 凸と凹の光沢差が模様を引き立たせる
- 立体感のある風合いになる
- フェイクレザーをリアルレザーに近い風合いにする
- 高級感が出せる
- 熱可塑性のある素材なら半永久的に模様が残る
エンボス加工のデメリット
- 高熱で模様が変形・変化する
- 熱可塑性のない素材だと模様が徐々に落ちる
その他
- 「エンボス(emboss)」とは「浮き彫りにする」「浮き上がらせる」という意味で、ローラーで加圧することにより模様が浮き上がることから名付けられました。
- 模様を浮き彫りしたローラーは「エンボスロール」と言います。